HOME12.その他 |テスラのイーオン・マスク氏、CO2を大気中や海洋から直接回収・除去する「ブレークスル-技術」コンペに1億㌦提供。世界から15チーム選出、4年間で競う。日本からも名乗りを(RIEF) |

テスラのイーオン・マスク氏、CO2を大気中や海洋から直接回収・除去する「ブレークスル-技術」コンペに1億㌦提供。世界から15チーム選出、4年間で競う。日本からも名乗りを(RIEF)

2021-02-09 17:26:04

 テスラの共同創業者のイーオン・マスク氏は、大気中あるいは海洋からCO2を取り除く技術開発コンテストに、1億㌦(約105億円)を投じると申し出た。アバターロボットの開発や月面無人探査等の「ブレークスルー」技術の開発を促す米国の「Xプライズ財団」の活動の一環として参画する。マスク氏は「カーボンニュートラルでは不十分、カーボンネガティブを達成する必要がある」と強調している。

 Xプライズ財団は慈善財団で、これまでも、ノキア、シェル、クアルコムといったグローバル企業をスポンサーとして、画期的なイノベーションを創出するコンテストを開いている。今回のコンテスト名は「X Prize Carbon Removal」。1億㌦の賞金規模は過去最大という。

 世界の主要国が「2050年ネットゼロ」を宣言し、CO2をはじめとする温室効果ガスの削減対策に着手している。しかし、すでに大気中や海洋には膨大な量のCO2が滞留している。同財団は、人類が気候変動による最悪シナリオを避けるには、2030年までに毎年6ギガトンのCO2を、2050年までに同10ギガトンを大気中あるいは海洋から吸収・隔離する必要があると指摘している。

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 すでに大気中のCO2を直接吸収する試行はいくつか進んでいる。しかし、コスト面や回収したCO2の隔離面等で高いハードルがある。今回のコンテストは、そうしたハードルを克服できる新たな技術開発を促すことが目的だ。

 コンテストは今年4月22日のアースデーに参加チームの登録を開始し、4年後の2025年の同じくアースデーまでに開発を競う。最終目標は年間ギガトンクラスのCO2吸収システムの実現を目指す。

 審査基準の基本クライテリアとしては、①少なくとも日量1㌧のCO2を吸収・除外できるプロトタイプの開発②ギガトンレベルにスケールアップできる経済性の確認を示す③環境的ベネフィットや恒久性、付加価値に加え、CO2トン当たりのコストの評価④吸収したCO2を貯留する期間は最低でも100年等、としている。

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 コンテストがスタートしてから1年半後に、審査委員会の判断で15チームを選出する。それぞれに開発資金として100万㌦を提供する。さらに各チームは勝ち抜くためのファンドレイジングを始める。学生チームに対しては総額500万㌦の奨学金を付与する。最終的に大賞(Grand Prize Winner)に5000万㌦を、2位は2000万㌦、3位1000万㌦を得ることができる。

 マスク氏はこうした総費用として1億㌦を、自らのマスク財団(Musk Foundation )から提供する。同財団は2002年の設立で、1億㌦の拠出はこれまでの同財団のトータルな拠出額の倍の規模という。マスク氏自身は、テスラ等の事業で2030億㌦の個人資産を保有しているとされる。同氏は「このコンテストは理論分野のコンテストではなく、実際にチームを作って、ギガ㌧規模のCO2吸収が可能なリアルなシステムの構築での競争だ」と強調している。

 Xプライズ財団は、コンテストに勝つには、CO2を大気中あるいは海洋から吸収し、それらを永久に環境に負荷を与えない形で隔離することが必要、としている。

https://www.xprize.org/prizes/elonmusk