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軍事ク―データーで民衆弾圧が続くミャンマーで、日本の官民が進める都市開発事業の資金の一部が軍部に流れている疑惑。内外のNGOが日本政府に調査と対処を要請(RIEF)

2021-03-29 12:24:40

Ycomplexキャプチャ

 

 軍事ク―データーで民衆弾圧が続くミャンマーの最大都市ヤンゴンで日本の官民が進めている複合都市開発事業(Y Complex)への批判が高まってきた。同事業は建設会社のフジタや官民ファンドの交通・都市開発事業支援機構(JOIN)などの日本企業グループが、国際協力銀行(JBIC)等とともに、現地企業と進めているが、事業用地は国防省の所有地。年間約2億円の賃借料が国防省から国軍に流れるとみられる。NGOらは、日本の官民が国軍支援に加担することになるとして、事業の中断を求めている。

 

 (写真は、Y Complexの建設時の様子)

 

 NPO法人メコンウォッチによると、対象となる都市開発事業はヤンゴン中心市街地にある約1万6000㎡の敷地に、オフィスビルやホテル、商業施設等を建設する計画。(通称、Y Complex)。総事業費約377億円。フジタや東京建物等の日系企業、JOIN等が8割を出資する。現地企業とジョイントで進めている日本からホテルオークラの出店も予定されている。JBICは約51億円を融資しているという。

 

 同敷地は国防省の所有地(旧軍事博物館)で、現地企業が賃借し、国防省に賃借料を支払うとされる。国防省に支払われた後、その資金がどう使われているかは不明。ミャンマーの国軍はビジネスにも力を入れており、ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)とミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)両社の株主で、両社の傘下には100以上の多様な企業群を抱える。

 

完成予想図。ホテルオークラも開業する予定
Y Complexの完成予想図。ホテルオークラも開業する予定

 

 こうしたことから、内外のNGOらは、こうした事業の継続は国軍を経済面で支援する形になるとして、事業の停止を求めている。メコンウォッチらは今月初めに、財務省、外務省のほか、JOIN、JBICに対して、「日本の対ミャンマー公的資金における国軍ビジネスとの関連を早急に調査し、 クーデターを起こした国軍の資金源を断つよう求める」との要請書を提出した。

 

 要請書はJOINの事業のほか、 国際協力機構(JICA)が実施している対ミャンマー政府開発援助(ODA)事業につい ても、人道目的のものを除く全ての支援をいったん停止し、国軍との関連がある企業が事業に関与していないか、実際に国軍に経済的利益をもたらしていないか等を 早急に調査するよう求めている。

 

 ミャンマーで事業を展開する日本の民間企業に対しても、国軍との関係を断つよう指導し、 その実現に向けた支援を実施するよう要請している。国軍との関係を断つことを拒否する企業に対 しては、日本政府の開発協力大綱及び国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえ、直ちに公的支援を取りやめるよう求めている。

 

 メコンウォッチによると、日本政府はミャンマー国軍が2011年に民主化を宣言して以来、2018 年度までにODAによる有償資金協力1兆1368億円、 無償資金協力3229.62億円、技術協力984.16億円の資金援助を行っている最大の援助国。JICAを通じて、ティラワ経済特別区(SEZ)周辺のイ ンフラ整備等を進めてきたほか、ミャンマーの債務救済でも大きな役割を果たしてきた。

 

 今回のヤンゴンでの複合都市開発のほか、ダウェー経済特別区開発会社への出資など、2013年以降、10数件への支援を行なっている。ミャンマー進出の日本企業では、キリンホールディングスが、国軍関連企業のMEHLとの提携事業の見直しを発表している。http://rief-jp.org/ct11/111747?ctid=74

 

http://www.mekongwatch.org/PDF/rq_20210304.pdf

http://www.mekongwatch.org/report/burma/ycomplex.html

https://www.fujita.co.jp/company/strength/foreign.html