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第2報:スリランカのコロンボ沖で火災を起こした貨物船の「ブラックボックス」回収。同国当局がロシア人船長らを聴取。マイクロプラスチックの回収は進まず(RIEF)

2021-06-08 17:54:08

Srilanka010キャプチャ

 

  スリランカのコロンボ沖で火災を起こし、積み荷から大量のマイクロプラスチックが海洋、海岸に流出した事故で、同国当局は船の運航状況を記録したブラックボックスと呼ばれる「Voyage Data Recorder(VDR)」を回収した。警察当局は同データをもとに、船長らに対して事情聴取を開始した。

 

 (写真は、白いマイクロプラスチックで覆われた海岸)

 

 事故を起こした貨物船はシンガポールのコンテナ会社、エックス・プレス・フィーダー(X-Press Feeders)社所有のX-Press Pearl号。5月20日に火災を起こし、13日後に鎮火したが、積み荷の化学物質の大半が流出した。同船には25㌧の硝酸が積み込まれていたほか、化粧品用のマイクロビーズが大量に積まれていた。https://rief-jp.org/ct12/114948

 

微細なビーズ状に加工されたまま漂着したプラスチック
微細なビーズ状に加工されたまま漂着したプラスチック

 

 これらの化学物質はコロンボ近郊の海岸約80kmにわたって漂着、一部は海洋中に溶解したとみられる。特にマイクロプラスチックは微細なペレット状で、漂着したものは砂と混じって散乱。スリランカ海軍等による人海戦術で除去作業が展開されたが、極めて微細な粒状の素材だけに、大量に海洋に流れ出たとみられる。

 

 廃棄プラスチックによるマイクロプラスチック汚染は世界的に問題になっているが、今回の事故では、化粧品等に加工するため、すでにマイクロ化されたプラスチックが直接流出したわけで、プラスチック汚染をさらに深刻化させる懸念がある。

 

漂着した化学物質の回収作業
漂着した化学物質の回収作業

 

 当局はマイクロプラスチックが漂着した海岸への立ち入りを禁止しているほか、周辺での漁業も禁止した。同国の環境団体は「スリランカ史上、最悪の人災」として、政府と船長を事故防止を怠ったとして告発した。

 

 海洋に流出したマイクロプラスチックは海流に乗って、時間をかけて、世界中の海に広がることになる。事情聴取を受けた船長とチーフエンジニアはともにロシア人。チーフオフィサーはインド人、という国際混成部隊で、いずれもパスポートを取り上げられている。刑事責任は免れない模様だ。

https://www.scmp.com/video/environment/3135616/microplastics-and-debris-burning-ship-washes-sri-lankan-coast

https://phys.org/news/2021-06-sri-lanka-recovers-black-ship.html