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フィリピン・マニラのWHO西太平洋地域事務局長の葛西健氏、職員らから「人種差別的、パワハラ的言動」で内部告発。ワクチン情報を日本政府に優先提供の疑惑も。同氏は疑惑を否定(各紙)

2022-01-28 13:30:11

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   各紙の報道によると、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局(フィリピン・マニラ)の葛西健事務局長が特定の国の職員に対して、人種差別的、威圧的な言動をしたとして、現・旧職員から告発された。WHO本部は27日、報道機関に対して「この問題に対して適切に対処する」と表明した。葛西氏は疑惑を否定している。

 

  (写真は、2020年10月に日本記者クラブの会見に出席した葛西氏)

 

 AFPやAPの報道によると、昨年10月にWHO職員の同事務局の職員ら数十人が、葛西氏の行為についてWHO本部に対して内部告発を行ったという。職員グループは今月半ばにも、WHO執行理事会のメンバー国宛てに、メールで葛西氏の言動を批判する書簡を送った。

 

 葛西氏は、慶応義塾大学医学部出身の医師。岩手県、厚生省等の勤務を経て、WHO西太平洋地域事務局感染症対策課長、WHO ベトナム代表、同地域事務局次長を経て、2019年2 月より同事務局長を務めている。

 

 職員らの告発では、葛西氏はマニラの西太平洋地域事務局の地域事務所で、「組織的ないじめと人前でのあざけり」が横行する「有害な職場環境」をつくり出したほか、現地のフィリピン人を中心とする「特定の国籍の職員に侮蔑的な発言」をしたとされる。職員は報復を恐れ、匿名で告発をしたとしている。

 

 スイス・ジュネーブのWHO本部は報道に対して、「疑惑の存在を認識しており、問題に対処するためにあらゆる適切な措置を講じている」と説明したとしている。ただ、具体的な対応については示さなかった。職員らが送付したとされるメールでは、「(葛西氏は人を)罵倒したり、人種差別的、権威主義的なリーダーシップをとったりする」と指摘しているという。新型コロナウイルス感染対応での不手際、加盟国が拠出した分担金の浪費、再選を狙った職権乱用、縁故採用についても指弾している。

 

 葛西氏はまた、管轄地域における新型コロナワクチンの必要量に関する内部情報を定期的に日本側に伝え、日本政府のワクチン外交を手助けしていたとされる。

 

 職員らはさらに、新型ウイルス流行初期にWHOは「封じ込めに失敗した」と指摘。その主因として、西太平洋地域事務局が「あまりにも中国中心的で、中国当局を否定したり批判したりしなかった」点を挙げた。

 

 AFPは、葛西氏がWHOに送付した文書も確認。葛西氏は「自分自身、また職員にも多くを求めている。特に新型コロナウイルス対策ではそうしてきた。ただその結果、職員が敬意を欠く扱いを受けたと感じることがあってはならない」としている。職員の告発については「職員に厳しくしてきたことは事実だが、特定の国籍の職員を標的にしたという指摘は否定する」と反論し、さらにワクチン情報を日本に伝えていたという疑惑についても否定。WHOの調査には全面的に協力するとしている。

https://www.afpbb.com/articles/-/3387333?cx_part=top_topstory&cx_position=1