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バイデン政権、米国の国立公園、野生生物保護区等、日本の面積の約5倍に相当する公有地での使い捨てプラスチック容器類の使用を2032年までに全廃。マイクロプラスチック対策促進(RIEF)

2022-06-11 13:29:13

Grandcanyonキャプチャ

  バイデン米政権は、グローバルなプラスチック汚染問題に対応するため、米国内の国立公園のほか、野生生物保護区、その他の公有地での使い捨てプラスチック容器等の使用を2032年までに完全に禁じる方針を打ち出した。対象となる土地は、4億8000万エーカーで日本の国土全体の5倍以上に匹敵する。規制導入で年間8万㌧のプラスチックごみを削減できるとしている。

 (写真は、グランドキャニオン国立公園でプラボトルではなく、マイボトルに水を入れる少年)

 日本の環境省も国立公園、国定公園の観光開発を促進するばかりではなく、自然生態系保全のための対応を進めてもらいたい。

 米国の国立公園等での使い捨て容器の規制案は、これまでも提案されてきた。だが、トランプ前政権がプラボトル容器を使用する業界への配慮で規制案を見送っていた。今回、内務省のデブ・ハーランド内務長官は「内務省は、わが国のエコシステムと気候に及ぼすプラスチックの影響を削減する主導力を発揮する責務を負っている」と宣言した。

 規制されるのは、国立公園等で販売される飲食料品の調達、販売、流通等で使用するプラスチック容器やナイフ・フォーク類、カップ、プラスチック袋等。これらを再生可能なバイオ容器や紙製品等に切り替えるか、あるいは100%のリサイクル体制を構築することを目指す。民間のコーヒーチェーンのスターバックス等で先行して実施している脱プラ容器戦略を、公的エリアで拡大実施することになる。

 同省では新たな規制導入案に対するパブリックコメント期間を設け、具体的な実施スケジュールを立てる。使い捨てプラ容器等の使用禁止とともに、代替品として環境に優しいバイオ資源等の再生可能資源を使ったボトルや容器の開発・採用を進める。

  米国でのプラスチックごみのリサイクル率はわずか5%で、大半は、これまで他の国に再生資源として輸出されていた。だが、中国をはじめ、アジアの新興・途上国では海外からのプラごみ輸入を禁じるところが増えている。このため、国内で処理する必要量が増える中で、処理量自体を削減する再生可能容器への転換が求められている。

 プラスチック規制をキャンペーンしているNGOのOceanaによると、毎年、米国で海洋に廃棄されるプラスチックごみ量は330億ポンド(約1500万㌧)と推定されている。同団体のプラごみ担当のキャンペーナー、Christy Leavitt氏は「使い捨てプラスチック製品による地球への環境悪化の影響は、海洋やコミュニティを汚染し続けており、今回のバイデン政権の決断を評価する」と称賛している。

 またバイデン政権はニューヨーク沿岸海域でマッコウクジラやウミガメの生息で知られる「ハドソン・キャニオン」を新たに海洋保護区に指定すると宣言した。同地はニューヨーク市から100㍄の地点にあり、「海洋のグランド・キャニオン」と呼ばれている。

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/06/08/fact-sheet-biden-harris-administration-celebrates-world-ocean-day-with-actions-to-conserve-americas-deepest-atlantic-canyon-cut-plastic-pollution-and-create-americas-first-ever-o/