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メコン下流本流ダム>サイヤブリダムからの電力購入に反対しタイ住民が行政裁判所に訴え(メコン・ウォッチ)

2012-07-12 17:30:37

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メコン河本流で進行するラオス・サイヤブリダム建設計画をめぐる動きです。サイヤブリダムの影響を受けるメコン河流域タイ8県の住民代表が、サイヤブリダムの電力をタイ発電会社が購入する際の契約手続きに憲法違反があったとして、タイの行政裁判所に訴えを起こす準備を進めています。住民側の主張については、以下、現地紙『タイポスト』(原文タイ語)の報道内容をご覧下さい。

この訴訟には、流域住民350名以上が参加すると伝えられています。行政裁判所への訴状提出は今月23日ですが、それに先立ち明日13日(金)には、報道関係者や市民に対する説明会がバンコク市内で開催されます。【注】

サイヤブリダムからの電力購入を停止するよう裁判所に訴え


タイポスト
仏歴2555/西暦2012年6月4日

メコン河流域8県タイ住民ネットワークは、住民代表や関係者と会合を開き、ラオス人民民主共和国(Lao PDR)北部で計画中のサイヤブリダムに関して、昨年(仏歴2554年/西暦2011年)12月、タイ発電会社(EGAT)がラオス・サイヤブリパワー社と交わした電力売買契約にかかわる活動を停止するよう行政裁判所に訴えを起こす件で、協議を行った。

弁護団によると、タイ憲法57条では、環境や国民の健康・生活に影響を及ぼす事業を実施する時には、事前に国民が政府から情報や説明を受ける権利に言及しているが、EGATが電力売買契約に署名する際には関係者への通知もなく、とりわけ影響を受ける住民は情報を受け取っていない。今回の訴えでは、これがタイ国内法に反することを問題としている。

また、サイヤブリダム建設は、国民の参加と意思決定の権利を保障する憲法58条に違反するとともに、タイ国内法ばかりか国際法にものっとっていない。これは、住民が意思決定に参加しておらず、環境影響評価は事業推進側による調査で、特に重要な点である、社会・健康影響面での評価が行われていないからである。

サイヤブリダム建設が実施されているメコン河は、世界最大の淡水漁場であると同時に、アマゾン河流域に次いで世界第ニ位の生物多様性【訳注】に富み、サイヤブリダムが建設されることになれば、生態系ばかりでなく何百万人の人びとにまで甚大な被害が及ぶ。そのため、訴えでは、環境、地域住民・社会、健康、エネルギー政策面での課題にも触れている。

チェンコンを愛する会を立ち上げ、「ティー師」の愛称で知られる二ワット・ロイゲーウ氏は、「住民が立ちあがって行政裁判所に訴えを起こすのは、貧困層が裁判所を頼りにしているからだ。今回の訴えは、国境を越えて影響が広がる開発事業をめぐる初めてのケースであり、政府や投資家に公共の資源の収奪をやめさせ、住民の権利について意識を高めさせる好例ともなるだろう」と語った。

【注】訴訟をめぐる報道関係者・市民向け説明会は、明日13日(金)午前11時から、バンコク市内BTSスカイトレイン・ラチャテヴィ駅近くStudent Christian Center(SCC)にて開催。詳細は、インターナショナルリバーズ(担当:Phai=パイ)まで(081-422-0111=英語可)。

【訳注】実際には、魚類など水生生物の多様性

(文責・翻訳 メコン・ウォッチ)

 

http://mekongwatch.org/resource/news/20120712_01.html