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日本:死刑執行に対する抗議声明(Amnesty)

2012-08-03 15:42:00

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アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、東京拘置所の服部純也さんと大阪拘置所の松村恭造さんの2人の死刑確定者に対して死刑が執行されたことについて抗議する。特に、死刑執行のなかった翌年に、すでに2度の死刑執行を行ったことは、死刑執行に依然として固執する政府の意思表示ともいえるものであり、強く抗議する。

今回の執行に対しては、以前から間近の執行が危惧されていたため、アムネスティはUA(緊急行動)を起こし、滝法相と政府に対し、執行をしないよう求めていた。そして、世界中のアムネスティの会員から、当局に対して、執行停止などを求める要望が寄せられていた。

滝法相は、本年6月の就任後の衆院法務委員会で、執行は法相の職責であり、執行をするとの考えを明言していた。確かに、死刑は我が国の法に定められた刑罰であり、滝法相は、法にのっとった執行をなすべきことが法相の職責であるとする。しかし、法の内容が国際人権基準に反するものである場合には、その法を改正すべく努力することもまた、政府、法相および法務省に課せられた義務である。日本政府は、国連総会決議、国連人権理事会の普遍的定期審査、そして国際人権規約委員会の勧告等で、再三、死刑の廃止に向けて努力することを強く要請されていることを忘れてはならない。

また、小川前法相から引き継いだ死刑制度に関する議論については、非公開の政務三役会議に留め、進捗状況も国民に十分に知らされていない状況であった。十分な情報公開のない議論で、かつ、執行を続けながらの検討では、死刑の是非に関して国民に考える機会を与えず、死刑制度を維持しようとする政府の偏った姿勢と見なさざるを得ない。政府および法相は、死刑の在り方についての議論を有識者を交えた会議や国会等の場に移すなど、政治的リーダーシップを発揮し、死刑制度について、より開かれた国民的議論を喚起するよう速やかに努力すべきである。

アムネスティは、あらゆる死刑に例外なく反対する。死刑は生きる権利の侵害であり、究極的な意味において残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として、公式に死刑の執行停止措置を導入するよう要請する。

日本政府は、国際人権諸条約の締約国として、死刑に頼らない刑事司法制度を構築する国際的な義務を負っていることを改めて確認しなければならない。そして、日本政府は、生きる権利をはじめとする人権保障の大原則に立ち戻り、死刑の執行を停止し、死刑廃止に向けた国民的議論を速やかに開始すべきである。

2012年8月3日 
公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本

 

http://www.amnesty.or.jp/news/2012/0803_3348.html