HOME5. 政策関連 |「第二の豊島事件」か。愛知・豊橋市で、解体・廃棄物処理業者が、市内各地に大量の野積み廃プラ長期放置。住民の撤去要請の陳情を市長が受け取らず。業者を「擁護」する背景は(?)(RIEF) |

「第二の豊島事件」か。愛知・豊橋市で、解体・廃棄物処理業者が、市内各地に大量の野積み廃プラ長期放置。住民の撤去要請の陳情を市長が受け取らず。業者を「擁護」する背景は(?)(RIEF)

2026-01-05 21:38:29

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写真は、豊橋市の廃棄物処理業者が病院近接地で、長期の野積み状態にある廃プラゴミ等のヤマ=取材者撮影)

 

   愛知県豊橋市で、市内の住宅地、病院等の近接地に、合計で2万4000㌧(2025年6月時点)に及ぶ大量の「野積み廃プラ」が長期にわたって放置されている。業者が「処分場」とする放置現場では火災事故も発生した。たまりかねた地元住民らで構成する8つの自治会代表が25年12月26日、市役所を訪れて長坂尚登市長と小原昌子市議会議長に、原状回復を求める陳情書を提出した。ところが長坂市長は住民たちの陳情の場には顔も見せず、アポなしを理由に秘書課が門前払いとした。一方の小原議長も「陳情のフォーマットが違う」と指摘して、提出し直しを求めた。ともに住民よりも、野積み廃プラを放置した業者寄りともいえる姿勢で、住民たちの市の廃棄物行政への疑念は高まっている。

 

 この問題は、同市の解体・廃棄物処理業の「MARUKO」(鈴木真理子社長)とその関連3社(コーセツ、光克、シンカ)が、2019年以降、市内の豊栄町・西山町・青竹町・石巻町・二川南町の6カ所に「サイコロ」と呼ばれるゴミの梱包体を大量に野積みにしたまま放置しているものだ。このうち、「処分場」の一つは、豊橋市民病院に至近距離の位置にあるほか、鉄の塀や金網で囲いはあるものの、ゴミの「サイコロ」が7m近くも高々と積みあげられ、長期放置によって雑草どころか木まで生えた場所もある。

 

 同社のサイトによると、1982年創業で同市内に本社を置き、建物解体工事では、地元の中京圏だけでなく首都圏などでも事業を展開。産業廃棄物処理業では、建設系産業廃棄物のほか、各種産業廃棄物、医療系廃棄物まで、 あらゆる産業廃棄物の収集運搬、処分を「適正処理」しているとしている。

 

 地元住民は、土壌・水質汚染、悪臭、自然発火、景観悪化などを懸念して、市環境部廃棄物対策課に再三苦情を寄せてきた。だが現在に至るも、処理が進んだ形跡はない。業者側は、廃プラを油化する予定なので「ゴミのサイコロ」は「廃棄物」ではなく「有価物」だから不法投棄ではないと主張している。市も業者の言い分を鵜呑みにしたように、市議会などで質問が出た際には、「有価物でないとは否定できない」と腰が引けた答弁に終始してきたとされる。野積みされた廃プラの山に対しても、市の廃対課の職員が時々、現場を見回る程度。住民側には「見て見ぬふり」 の対応にしかみえず、不満は募るばかりだ。,

 

梱包体が「間に合わなかった」のか、むき出しで積み上げられた廃棄ゴミ
梱包体が「間に合わなかった」のか、むき出しで積み上げられた廃棄ゴミのヤマ

 

 実際にも、現状では各処分場には油化装置などの設備は影も形もなく、設置の工事を始めた気配もない。地元の豊橋技科大学の研究者はそうした装置の実現性、採算性を疑問視している。しかし、市は処理の可能性について調査もしておらず、なぜか問題解決に動きだそうとしていない。住民たちが不信感を高めるのは、愛知15区(豊橋・田原)選出の自民党衆議院議員で高市内閣の農水副大臣の根本幸典氏と、同氏側近の丹羽洋章県議、杉浦正和県議、さらに自民党市議らがこの問題で業者を支持する姿勢を顕著にして、市役所に「圧力」をかけ、「MARUKOを守るスクラム」を組んでいるとされる点だ。

 

 こうした業者と行政・政治の「事なかれ主義」の姿勢から、住民らは「このままでは豊橋が第二の豊島(てしま)になる」と危機感を募らせている。「豊島事件」は瀬戸内海の小島の豊島(香川県)で、1975年から兵庫県の廃棄物業者が自動車廃棄物の不法投棄を16年間も続けたため、累計90万㌧の廃自動車ゴミが野積みにされ「ゴミの島」と化した事件だ。

 

 豊島の場合も、関与・指導すべき行政が、業者の反発を恐れて放置し続けた。行き詰まった住民らは、後に住専管理機構社長として住専問題に取り組んだ大阪弁護士会の故中坊公平弁護士らに依頼して、公害調停を申請。その後の兵庫県警などの強制捜査もあって、2000年に香川県と住民たちはゴミの撤去と原状回復の合意にこぎつけた。しかし国費も投じた処理が終了するまでには、それから19年もの歳月を要した有名な公害事案だ。

 

 豊橋市も1970年代に全国に先駆けて「530(ゴミゼロ)」宣言をした。だが、自動車メーカーの城下町である豊田経済圏と浜松経済圏にはさまれる形で「530」政策は衰退、大企業の誘致にも失敗して両経済圏の廃棄物の受け入れ先となりつつある。現に市内の西七根地区では、別の廃棄物業者が処理せず投棄したゴミに土をかぶせて隠していたことが大雨で露見した。政治が業者と結託して不法投棄を「誘致」しているかのような豊橋市の行政のありようは、豊島を放置し続けた香川県の「失敗」と同じ道を辿っているようにもみえる。

 

 住民側は市に対し情報公開請求を繰り返し、市議、県議、国会議員のほか、MARUKOに廃棄物処理を委託した豊橋市周辺の大企業や金融機関、JA農協にも質問状を送っている。このためMARUKOの主取引銀行2行が融資に慎重になっており、MARUKOは資金繰りの困難さからも、廃棄物の処理を先送りして野積みを増やさざるを得ない状況にもあるとの見方も出ている。現に25年10月から弥栄(いやさか)工場の日量50㌧の焼却炉が停止され、市民病院の医療廃棄物を含む一般ゴミの処理ができない状態に陥った。

 

  一方で、抗議の声を上げ続ける住民側に対しては、政治からの「圧力」や水面下での切り崩し工作もあるという。このままでは、豊島のような法的な対立に発展する可能性が強まっている。

                     (ストイカ編集部)

https://www.stoica.jp/stoica/183

https://www.maruko18.co.jp/about/company/