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環境活動家、北極にあるロシアの石油開発基地によじ登る(Reuters)

2012-08-27 17:51:13

記者会見を行ったグリーンピース・インターナショナルのナイドゥ事務局長(12年8月14日、ロシア・モスクワ)
記者会見を行ったグリーンピース・インターナショナルのナイドゥ事務局長(12年8月14日、ロシア・モスクワ)


【モスクワ24日ロイター時事】ロシアの政府系天然ガス企業ガスプロムが同国北方沖合のペチョラ海で開発中の石油掘削基地に24日、環境活動家がよじ登って抗議活動を行ったが、15時間後にホースで冷たい水を噴射され、退散を迫られた。

 環境保護団体グリーンピースのクミ・ナイドゥ事務局長を含む活動家は24日午前4時(日本時間午前9時)頃、スピードボートで同基地に到着した。活動家は十分な物資を持ち、何日か滞在するつもりで同基地の横にボートを縛り付け、小さな足場にテントを張った。同基地はロシア初の北極圏沖合の開発基地。

 しかしホースで冷たい水を噴射され、15時間後に退散を迫られた。グリーンピースによれば、活動家は「このような北極の極寒地で不必要なリスクを背負うのを回避するため」グリーンピース保有の船に退避した。目撃者によると、ナイドゥ氏は水の噴射を受け、異常高熱に苦しんでいる。また活動家によれば、上から鎖が落ちてきたという。

 ガスプロムは、水の噴射や基地から落下物があったとの報告に関するコメントを拒否した。

 これより先、グリーンピースのツイッターのアカウントには、「噴射は強烈だったが、できる限り粘るつもりだ」というナイドゥ氏のコメントが投稿された。同氏はのちほどの投稿で、「北極ペチョラ海の環境破壊に注目を集めるというわれわれの目的は達成された」と述べた。

 バレンツ海の一部であるペチョラ海にはプリラズロムノエ海底油田があり、同油田の推定埋蔵量は5億2600万バレル。ロシアは北極探査の成功が世界トップの石油生産国としての地位を維持するのに不可欠だと考えている。

 ガスプロムによると、活動家らは基地の周囲500メートルという立入禁止区域内に侵入した。「建設的な交渉を行うために基地に上がるのを認めた」が、活動家らがこれを拒否したという。基地の作業は通常通り続けられている。

 同油田の開発は遅れているほか、コスト超過や建設上の困難にも直面している。現在、年末までには原油が採掘できる見通しだ。

 活動家らは北極の極限的な状況、つまり遠く離れているほか、暗く、低温で、風が強いといった状況を理由に、生態系が脆弱(ぜいじゃく)な同地域で原油が流出すれば、対応が難しいと指摘している。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012082700327