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「サヤマ」を世界の紅茶に 英国で金賞 製造者、意欲(東京新聞)

2012-08-28 12:56:48

受賞した茶葉を手にする中峰剛さん=さいたま市浦和区で
狭山茶の茶葉を使った珍しい紅茶が、英国の国際的な食品コンテスト「グレート・テイスト・アワード2012」(GTA)で今月、「二つ星金賞」を受賞した。製造にかかわった中峰剛さん(45)=さいたま市浦和区=は「狭山茶の品質が世界に認められ、大変うれしい。ダージリン(インド)のように、『サヤマ』を世界的な紅茶の名産地にしたい」と夢を語っている。 (前田朋子)

受賞した茶葉を手にする中峰剛さん=さいたま市浦和区で




 受賞したのは「サヤマ・コングー・ブラックティー」。GTAの「単一農園のリーフティー」部門で、最高の三つ星に次ぐ二つ星金賞の栄誉に輝いた。

 中峰さんは、奥富園製茶(狭山市)が育てた煎茶用茶葉を使用。ミルクティー向けを意識し、今年初めて製造した。入れた紅茶の色は薄めだが、飲むと柔らかな香りが広がり、少量でも牛乳に負けない強さがある。

 中峰さんは、JR北浦和駅近くで台湾・中国茶の専門店「翡翠(ひすい)館」を経営している。卸を手掛ける中で台湾北部・桃園の茶農園と深い交流が生まれ、長老から紅茶の製造法を直接たたき込まれた。

 台湾には、現在の三井農林が戦前に日本から持ち込んだ高い技術がある。長老は「(三井農林製品の)『日東紅茶』のおかげで今のわれわれがある」と、惜しみなく技術を伝えてくれたという。

 桃園は、台湾茶の産地としては珍しい北部に位置している。狭山茶の産地とは標高など地理的条件が似ており、中峰さんは「狭山茶でもきっと紅茶ができる、と『埼玉魂』に火が付いた」。

 「煎茶用の品種でつくった紅茶が海外で評価されたのは、戦後初ではないか。見守ってくださった奥富園さんのおかげ」と中峰さん。奥富園製茶は、今回のGTA緑茶部門に出品した「狭山手摘み煎茶」が一つ星金賞を受賞している。

 中峰さんは「ミルクティーで飲める紅茶は、世界市場で勝負できる可能性がある。狭山茶を生産、製造している方々に紅茶の技術を公開し、規格づくりを進めれば勝機はある」と意気込んでいる。

 「サヤマ・コングー・ブラックティー」は、翡翠館でポット一杯八百円で味わうことができる。問い合わせは翡翠館=048(825)7795=へ。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082890111305.html?ref=rank