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耐震化不明ビル1000棟 都内幹線道路沿い(東京新聞)

2012-08-31 10:02:50

tokyotaishin2012083199070444
耐震化されているかどうか、東京都が報告を義務付けた都内の幹線道路沿いのビル約五千棟のうち、期限を半年過ぎた七月末時点で千九十八棟が報告書を提出していないことが分かった。耐震不足のビルの倒壊で緊急車両が通行できない事態を避けるために都条例で提出を規定したが、把握が進まないため都は今月下旬からビル所有者の戸別訪問を始めた。

 条例は全国初の試みで昨年四月に施行。環状7号などの主要な幹線道路(高速道路を含めて延べ約千キロ)を緊急車両の走行が特に優先される「特定緊急輸送道路」に指定し、道路沿いに立つビルが倒壊して道をふさがないよう耐震化を促すのが狙いだ。

 対象のビルは、一九八一年六月以前の旧耐震基準で建てられ、高さが道路幅の二分の一以上の中高層ビル約五千棟。(1)耐震診断の有無などを記した「耐震化状況報告書」を提出する(2)建物の耐震診断を行う-ことを義務付けた。

 報告書の提出は昨年十月から今年一月の期間だったにもかかわらず、対象ビルの五分の一で耐震診断や耐震改修が行われたかどうか、全く分かっていない状況だ。

 提出していない所有者に都が電話で連絡すると、九割程度は「忘れていた」と回答するという。ただ、提出後の耐震診断で性能不足が判明することを恐れてか、その後も提出しないケースが後を絶たないため、都は戸別訪問による催促に踏み切った。

 条例では、報告書を期限内に提出しない場合、過料五万円以下を科すことができるが、都は当面適用せず所有者に提出を促す。

 都は二〇一五年度までに全ての対象ビルの耐震化を目指しているが、担当者は「報告書は最初のステップ。真実を書くだけのこと。提出がないと耐震化の状況は分からないし、次の耐震診断や改修工事に進まない」と危機感を募らせている。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012083190070444.html