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水俣病、水銀濃度が基準値未満でも発症多数 新潟青陵大が論文(各紙)

2012-09-13 16:50:35

各紙の報道によると、新潟青陵大の丸山公男教授らの研究によって、水俣病の原因物質であるメチル水銀の毛髪中濃度で、世界保健機関(WHO)が「成人で神経症状の出現が疑われる最小値」としている50ppmを下回っても発症するケースが多数あることが分かった。同教授らが米国の医科学誌へ論文発表した。

 日本政府の水俣病の認定基準では、毛髪中の水銀濃度は短期間で低下しやすいので認定の基準に含めていない。しかし、水銀による健康被害は海外でも報告されている。このため、今回の研究結果も踏まえて丸山教授は、「毛髪の水銀濃度で(基準を)線引きするのは危険だ」と指摘している。同時に、水銀中毒の臨床例の少ない国や地域が、WHOの基準をそのまま適用しないよう訴えている。

 丸山教授らの研究は、新潟大などが昭和40年に新潟県の阿賀野川流域で実施した住民らの調査結果を再検討して実施した。手足のしびれなど水俣病特有の症状が認められた成人103人のうち、48人はWHOが最小値としている50ppm未満だった。