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日本は近隣諸国を「ゴミ箱」扱い=中国政府系ファンド首脳 円安政策を批判(WSJ)

2013-03-08 00:30:11

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ChinaWO-AM916_CIC_NS_20130306170009【北京】中国の政府系ファンド、中国投資(CIC)の高西慶総経理は6日、日本政府が意図的に円の下落を誘導することによって、近隣諸国を「ゴミ箱」扱いしていると批判した。日本の現政権の経済政策が通貨戦争を引き起こしかねないとの批判が中国政府指導層内で高まっていることを示すものだ。

 

高総経理がウォール・ストリート・ジャーナルとの単独インタビューに応じ、「責任ある政府としてそのような(通貨を下落させる)ことはしていただきたくない」と語った。安倍晋三首相率いる日本の新政権が、他国の経済が犠牲となる輸出増加のために円の価値を引き下げているとする一部諸国の財務相、中央銀行総裁が持つ懸念についての発言だ。同氏は前日から始まった中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)に参加しており、インタビューはその会場内で実施された。

 

総経理はさらに、日本の政策について、「隣国をゴミ箱扱いし通貨戦争を始めることは隣国だけでなく最終的には自国にも害をもたらすものだ」と述べた。高総経理の発言はこれまでの中国政府高官の日本の経済政策批判の中でも非常に厳しいものだ。米国、欧州、日本が経済成長を狙って取る緩和策が通貨戦争に発展し、世界各国が自国の輸出促進のために通貨の切り下げ競争に突入するとの懸念を反映している。

総経理は「通貨戦争は厳しい局面に入っており、中国は明らかにその犠牲者だ」と述べた。

 

またこの日は、中国人民銀行(中央銀行)の顧問を務める陳雨露氏が、他国の中央銀行が経済下支えのために実施している債券購入による緩和策の影響で、今年後 半に中国がインフレ圧力にさらされるとの見通しを明らかにした。量的緩和と呼ばれるこれらの債券購入策が金利を低く抑えている。そのため、そうした国々の 投資家が新興国市場での高金利金融商品に資金を振り向けるため新興国の資産や通貨価値の高騰を引き起こす。

 

高総経理はまた、最近の世界的な株価の上昇にもかかわらず、世界経済の見通しには懸念を示した。構造問題や金融規制の不透明さが払しょくされていないためで、「全体としてみれば、われわれは(世界)経済に対して慎重な見方を維持している」と述べた。

 

CICは2007年に豊富な外貨準備を米国債以外の高金利商品で運用益を得ることを目的に設立され、約5000億ドル(約47兆円)の資金を運用している。

 

一方、安倍首相始め日本政府関係者は現政権の政策はデフレ退治を目的としたもので円を下落させることを狙ったものではないと強調している。

 

安倍首相から日本銀行の次期総裁に指名された黒田東彦・現アジア開発銀行総裁は、4日 の国会での日銀総裁候補としての所信聴取の中でも、日銀の金融政策は円の下落を狙ったものでは全くないと証言した。さらに黒田氏は、日本が大胆な金融緩和 策をとってデフレをできる限り早期に終結させることは、日本だけでなくアジア諸国、ひいては世界各国の利益にかなうものだと述べた。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323489604578344973518428046.html?mod=WSJJP_Economy_LeadStory