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兵庫県の廃校を植物工場に オリックス不動産が建設・運営 (環境ビジネス)

2013-09-19 21:23:08

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Plants20130919kb003オリックス不動産は、兵庫県養父市から廃校となった旧南谷小学校を賃借し、体育館内において、リーフレタスなどを栽培する完全人工光型植物工場を建設、運営すると発表した。

本事業は、過疎地域の人口減少などの問題に対し地域活性化の観点で支援や研究を行っている、関西学院大学総合政策学部の提唱をきっかけとし、廃校の有効活用を積極的に推進している養父市の支援、協力により実現した。同市においては初めての産官学連携事業となる。廃校を有効活用することで、過疎化する地方に新たな雇用を生み、地域の活性化にもつなげる。

また、栽培、設備ノウハウは、30年にわたり植物工場の研究、開発実績を持つ森久エンジニアリング(兵庫県神戸市)等との事業協力により提供される。光源に蛍光灯を使用し、反射光を有効利用することにより、省エネ・省スペース高効率高速栽培を可能とする同社の反射板特許技術を使用する。

工場を建設する体育館の床面積は約482平方メートル(約146坪)。施設内には11列8段式、高さ7mの栽培棚数を設ける。工事着工は11月、工事完了・栽培テスト開始は2014年3月、栽培開始は2014年6月を予定している。栽培事業開始後、半年で1日あたり約3,000株、年間約100万株(84トン)の生産体制を目指す。

販売に関しては、地元企業の協力のもと流通する。また、食品スーパーや外食産業など、オリックスグループの全国支店ネットワークを活用した取り引き先の開拓を予定しており、オリックスグループが運営する宿泊施設でも提供する。

植物工場は、人工的に高度な環境制御を行うことにより、野菜等を周年・計画生産する施設園芸農業の形態のひとつ。設備方式により「完全人工光型」と「太陽光利用型」の2種類に大別される。完全人工光型植物工場でのリーフレタス栽培は、外気を遮断し無農薬での栽培が可能で、異物混入のリスクが少なく、季節や天候などの影響を受けにくいことが特徴。このため、洗浄工程コストが削減でき、環境への負荷の低減や、栄養価を保つメリットがある。また、連作障害の心配がないことから、多段栽培により高効率で安定的な生産ができる。

今回栽培するのは、植物の葉が重なりあって球のようになっていない非結球レタス。これに対して、通常のレタスは結球レタスと呼ばれる。日本の非結球レタス生産量は約5万トンで、そのうち植物工場で収穫される非結球レタスのシェアは約2,500トン(約5%)。昨今の農業従事者の高齢化や後継者不足によりレタスの生産量は今後減少が懸念されている。また、近年の異常気象を受けたレタス価格の高騰やPM2.5などの影響により食の安全性も不安視されていることから、外食産業などからは季節や天候などの影響を受けない安定価格、安定供給による調達ニーズが高まっている。オリックス不動産は今回の取り組みにより、こうしたニーズに対応する。

http://www.kankyo-business.jp/news/005774.php