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メキシコ湾のイルカに健康異常、2010年のBP原油流出事故後に(AFP) 福島原発事故も生態系への影響ほとんど顧みられず
2014-02-03 21:20:21

【2月3日 AFP】2010年に米南部ルイジアナ(Louisiana)州沖のメキシコ湾(Gulf of Mexico)で発生した英エネルギー大手BPの原油流出事故から1年後の調査で、同湾内のバンドウイルカに、歯の欠損や肺疾患、ホルモンレベルの異常などがみられたことが、米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)などの研究チームによって報告された。
昨年12月、米国化学会機関誌「エンバイロメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Environmental Science and Technology、環境科学と技術)」に同チームが発表したのは、2010年4月に爆発し、約490万バレルの原油をメキシコ湾に流出させたBPの石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン(Deepwater Horizon)」の事故後のイルカの健康に関する世界初の大規模な調査をまとめた論文。
米史上最悪の原油流出が始まってから1年と4か月後に当たる2011年8月に調査対象となったイルカ32頭の半数が、重病または死の危険に直面していた。論文の主執筆者、NOAAのロリ・シュワック(Lori Schwacke)氏は「非常に重い病気の個体がこれほど高い割合で発生しているケースは今まで見たことがない」と話す。
調査対象の野生のバンドウイルカは、メキシコ湾のルイジアナ州沖にあるバラタリア湾(Barataria Bay)で捕獲し、短期間で健康検査を行った後に海に戻した。検査結果は、フロリダ(Florida)州沖にあるサラソタ湾(Sarasota Bay)のバンドウイルカ27頭と比較された。サラソタ湾はバラタリア湾と同じくメキシコ湾内に位置するが、原油流出の影響を受けていない。
この調査の結果、バラタリア湾のイルカは、動物のストレス反応に不可欠な副腎ホルモンのレベルが著しく低かった。中度から重度の肺疾患は、サラソタ湾のイルカに比べて5倍も多くみられた。またバラタリア湾のイルカのうち3頭はほぼすべての歯を失っており、さらに通常の歯の数(78~106本)の半数しか残っていないイルカも3頭いた。この他、肺炎、貧血、低血糖、肝酵素の上昇などの症状もみられ、死んだ胎児を胎内に残したまま泳いでいた雌のイルカも報告された。
米南部に生息するイルカの専門家のシュワック氏は「健康状態があまりにも悪いため、検査した獣医師らが、それほど長くは生きられないと判断したイルカが数頭いた」と述べた。
■BP「原油が原因とは言えない」
BP側は、今回の調査論文は「流出とのいかなる因果関係に関しても決定的ではない」としている。
BP広報担当のジェイソン・ライアン(Jason Ryan)氏にコメントを求めたところ、同氏は同社の声明をAFPに示した。その中でBP側は「今回の調査で観察された症状は、メキシコ湾北部で存在が確認されたことのあるポリ塩化ビフェニル(PCB)、殺虫剤DDT、農薬などの汚染物質と疾患に関連する過去のイルカの大量死事象ですでに観察されている」と述べている。
BPはまた、流出事故の3か月前に当たる2010年2月以降にメキシコ湾沖で計1000頭以上のイルカが異常死した事例に関するデータすべてを発表するようNOAAに要請している。イルカの健康に関する研究で、事故発生以前に同地域で行われたものは存在しないため、今回報告した問題がBPの原油流出に起因することを自分たちの研究では証明できないことをNOAAの研究者らは認めている。
だが農薬や難燃剤といった化学物質のレベルは、ルイジアナ州沖のバラタリア湾のイルカの方が、フロリダ州沖のイルカよりも低いことが脂肪層の比較で明らかになっており、これは農業排水などによる一般的な汚染が、フロリダ沖のイルカの病気の原因ではないことを示唆している。
■イルカ個体数激減、いまだ原因不明
メキシコ湾北部では2010年2月以降、1082頭ものイルカが海岸に打ち上げられている。ディープウォーター・ホライゾンの原油流出事故で爆発が発生したのは同年4月20日。それ以前から、異常に多数のイルカやクジラが海岸に打ち上げられるようになっていた。
事故前の2010年2~4月末までの間に打ち上げられたイルカやクジラの数は114頭。事故後は2010年4月30日~2014年1月26日までの約3年9か月で、さらに1000頭近くが打ち上げられている。この中には、2011年1~4月の間にルイジアナ州からフロリダ州西部にかけての海岸に死骸が打ち上げられた生まれたばかりのイルカ86頭も含まれている。
原因は、米東海岸のバンドウイルカ大量死の原因とされている人間のはしかに似た麻疹(ましん)ウイルスでも、細菌感染によるブルセラ症でもないように思うとNOAAの研究者、テリー・ロウルズ(Teri Rowles)氏はいう。
ロウルズ氏は「現段階では、原因因子として特定できる要因はつかめていないが、メキシコ湾の大量死事象において、BPの原油流出事故の影響を排除することは、現時点では間違いなく不可能だ」と述べている。
今回イルカの健康検査を支援した獣医師の1人、米ノースカロライナ州立大学獣医学部(North Carolina State University College of Veterinary Medicine)のクレイグ・ハームズ(Craig Harms)准教授はAFPの取材に対し、問題のイルカの症状が、原油に接触させた実験動物に見られる症状に酷似していると指摘している。同准教授は「原油への接触は、バラタリア湾のイルカの副腎機能障害と肺疾患に対する最も妥当な説明だ」と述べている.
http://www.afpbb.com/articles/-/3007727?pid=0

































Research Institute for Environmental Finance