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袴田事件1審死刑判決の元裁判官 「無罪の心証」を他の裁判官に押し切られる(毎日)

2014-03-27 12:10:19

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熊本典道さん=2013年11月、荒木涼子撮影
熊本典道さん=2013年11月、荒木涼子撮影


静岡市(旧静岡県清水市)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして強盗殺人罪などで死刑が確定した元プロボクサー、袴田巌死刑囚(78)側の第2次再審請求。静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、再審を開始し、死刑執行を停止する決定を出した。

1審・静岡地裁で死刑の判決文を書いた元裁判官、熊本典道(のりみち)さん(76)は「公判で袴田さんが『やっていません』と言った姿が忘れられない。思い出すと涙が出る」と、今でも悔やみ続けている。

真っすぐに裁判長を見据えて受け答えする袴田死刑囚の様子や、任意性に乏しい供述調書などを通じ、「有罪認定は難しい」と思っていた。だが、結審後に判決文を検討する中で、結果的に先輩判事に押し切られた、と振り返る。

半年後、耐えられず退官し、弁護士に転じた。合議の秘密を破り、第1次再審請求中の2007年、「無罪の心証があった」と告白したが、請求棄却が確定した。先月末には古巣の静岡地裁を訪ね、再審開始を求める上申書を提出。「自分は他の裁判官を説得できなかった。償いをしたい」と訴えた。【荒木涼子】

http://sp.mainichi.jp/select/news/20140327k0000e040162000c.html