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密漁、違法伐採等の「環境犯罪 世界で年間2千億㌦の巨額収益に 環境に与える損害はその何倍にも(National Geographic)

2014-06-25 21:40:48

密猟者に殺害されたゾウの遺骸。ケニアのトサボ・イースト国立公園にてブッシュ・パトロール隊が発見した。毎年2万~2万5000頭のアフリカゾウが密猟者によって殺害されている。
密猟者に殺害されたゾウの遺骸。ケニアのトサボ・イースト国立公園にてブッシュ・パトロール隊が発見した。毎年2万~2万5000頭のアフリカゾウが密猟者によって殺害されている。
密猟者に殺害されたゾウの遺骸。ケニアのトサボ・イースト国立公園にてブッシュ・パトロール隊が発見した。毎年2万~2万5000頭のアフリカゾウが密猟者によって殺害されている。


象牙売買、密漁、違法伐採、その他あらゆる環境犯罪に関わる世界の産業は、年間700億~2130億ドルの収益を上げ、その多くが犯罪組織、武装集団、テロ組織の資金源になっているという。国連とインターポール(国際刑事警察機構)が6月24日、報告書を発表した。

 

「過去の報告に比べ、その規模は急拡大している」と話すのは、国連環境総会(United Nations Environment Assembly)の即応ユニット(Rapid Response Unit)リーダー、クリスチャン・ネルマン(Christian Nellemann)氏だ。「主な理由の一つは、特に木材や野生動物の生息環境に関して、組織犯罪に使用される手法がほんの数年前まであまり知られていなかったためだ」。

今回の報告書は「環境犯罪の危機(The Environmental Crime Crisis)」と題されたもので、毎年2万~2万5000頭のアフリカゾウが殺害され、推計1億6500万~1億8800万ドル相当の象牙がアジアへ渡っていると述べられている。

同時にサイの角の取引額は、推計6380万~1920万ドルに上る。密猟されたサイの数は2007年には50頭未満だったが、2013年には1000頭以上に増加している。

しかし今回の報告書で編集責任者を務めたネルマン氏は、違法な木材取引はさらに急速に成長しているようだと語っている。“森林犯罪”による取引額は年間推計300億~1000億ドルに上り、これは世界の木材取引の30%に当たる。

研究では公判記録、国連食糧農業機関(FAO)の統計資料、インターポールによる逮捕、押収記録、環境犯罪による利益を資金源とするテロ集団の収入に関する国連安全保障理事会の提供情報など異なる情報源を元に、様々な犯罪による収益額が計算された。

調査では、木材を運ぶトラックの数を物理的に数えることもしている。

「アフリカの1つの国へ公式に輸出される木材は、おそらく1年で1、2台分だろう」とインタビューでネルマン氏は答えている。しかし「我々は、数百台のトラックが国境を越える写真を入手している」。

アフリカで消費される木材の約90%は、薪や木炭に使用されている。木炭は、エジプト、イエメン、サウジアラビア、オマーンなど中東の数カ国へ違法な輸出もされている。

報告書によると、ソマリア一国からの輸出額は年間3億6000万~3億8400万ドルと推計され、うち最大5600万ドルは、昨年ケニアで発生したウエストゲート・ショッピングモール襲撃事件に関与したイスラム過激派組織アル・シャバーブの支援に使われているという。

国連環境総会の加盟国代表者のほとんどがデータを見直すことはなかったが、何カ国かの代表者たちは、近年の環境犯罪を抑制しようという取り組みの中で新たに算出されたこれらの数字に驚きを隠せなかった。

 

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140625001