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世界の海洋を覆うプラごみ オランダ19歳の学生が海流利用の回収法考案 画期的計画に支援集まる(AFP)

2014-07-10 14:38:19

オランダのデルフトで、海から回収されたゴミの山の一緒のボヤン・スラット氏
オランダのデルフトで、海から回収されたゴミの山の一緒のボヤン・スラット氏
オランダのデルフトで、海から回収されたゴミの山の一緒のボヤン・スラット氏


【7月10日 AFP】オランダの学生ボヤン・スラット(Boyan Slat)さんは、弱冠19歳にして太平洋(Pacific Ocean)に浮かぶ何千トンもの有害なプラスチックごみをすくい上げる画期的な計画を考案し、そのプロジェクトにはすでに100人もの人たちが参加している。

世界の海に50万トンあるいは数百万トンも浮かんでいるとされるプラスチックごみは、「プラスチックのスープ」とも呼ばれ、その大部分が5大環流の中で渦を巻いており、漁業や観光業に毎年、数千億円もの損害を与えている。プラスチックごみは海洋生命を奪い、海洋生物が摂取すると食物連鎖に入り込み、イルカや鯨をも巻き込む。

これまで出されてきた対策案のほとんどは海洋に船を走らせてゴミをすくい上げるというものだが、スラットさんは、海流の力を利用してプラスチックを回収する画期的方法を思いついた。

「待っていれば流れてくるのに、なぜプラスチックを追いかける必要があるのでしょうか」。スラットさんは、AFPの取材にこう語った。

スラットさんの設計では、それぞれ全長50キロの浮きアーム2本を「V」の形に浮かべて海底に係留させ、そのアームから、皮肉にも強化プラスチックでできたカーテンを、海面下約3メートルまでぶらさげる。

海流がゴミを「V」の中に押し込み、その端に浮かぶ直径11メートルの円筒形プラットホームにまで送る。プラットホームは、五輪サイズのプール容量よりも多い最大3000立方メートル分のプラスチックを収容でき、これは最終的に船で回収される。大きなプラスチックごみは、太陽光発電のベルトコンベヤーによって、円筒形プラットホームに入るサイズに細かく切断される。

青い目のぼさぼさ髪のスラットさんは、両親と同居しながら大学で航空工学を専攻していたが、ギリシャでスキューバダイビングをした時にこのアイデアを思いついたという。「海の中には、魚よりプラスチックの方がたくさんあった」

2012年末に初めてこの案を発表した時には、まさか実現するとは思わなかった。現在、世界各国から集まった100人が、スラットさんのプロジェクトに取り組んでいる。中には、フルタイムで協力する人も何人かいる。

1年間の実現可能性調査を経て、スラットさんは3~4年後を目処に試験計画を立ち上げたい考えだ。その後、北太平洋に最初の「海洋浄化アレイ(Ocean Cleanup Array)」設置を計画している。

スラットさんは、インターネットのクラウドファンディング・サイトを通じ100日間で200万ドル(約2億円)の資金調達を目指しているが、32日間で既に100万ドルが集まった。

向こう10年間で、北太平洋に渦巻くプラスチックごみの半分近くを回収したいとしている。スラットさんによると、この方法は船を使った回収より数千倍も速い上に、費用も安くあがるという。

海洋学者、技術者、法律アドバイザーを含む約70人が実現可能性調査に参加し、法律上と建設上の問題や、設備の天候に対する耐性とコストを調べている。

 

http://www.afpbb.com/articles/-/3020159?pid=0