HOME |古賀茂明氏「国富を喪失するアベノミクス」と指摘。2013年の一人当たりGDPランキングは一気に9つも格下げ(ゲンダイ) |

古賀茂明氏「国富を喪失するアベノミクス」と指摘。2013年の一人当たりGDPランキングは一気に9つも格下げ(ゲンダイ)

2015-01-10 00:01:41

kogashigeakitwitter3_reasonably_small
kogashigeakitwitter3_reasonably_smallこのままだと「新55年体制」で自民党政権が長期に続くという見方がありますが、私は前回ほど続かない、数年経たないうちに崩れるのではないかと見ています。経済が行き詰まるだろうからです。

円が1ドル=80円から120円になって、この2年間で日本の国力はガクンと小さくなりました。都心のミシュランの3つ星レストランでは、以前1万5000円~が相場だったのが、最近は3万円が普通になっています。ただ、日本円では大幅な値上げでも、ドル換算するとそうでもない。例えば、2年前の2万4000円と現在の3万6000円は同じ300ドルの価値です。

 

外国人には割安に映り、いまや日本人が行けなくなった高級料理店で、中国や東南アジアの旅行客が食事をしています。 GDPはドル換算すると3分の1減りました。

 

1ドル=80円の頃は6兆ドル以上あったのに、14年は4兆8000億ドル程度です。13年の1人当たりGDP世界ランキングは、何と一気に9つ落ちて24位。14年はさらに大きく下がってますから、8位のシンガポールの姿が遠くかすみ、香港にさえ抜かれたと見てよいと思います。日本は確実に貧しくなっているのです。そのうち先進国から脱落してしまうのではないでしょうか。

 

安倍首相は「ジャパン・イズ・バック(日本は戻ってきた)」と胸を張っていますが、このままでは、「ジャパン・イズ・ゴーン(日本は終わった)」になってしまいますよ。

 

国富を喪失するのではなく、価値をつくり出すような成長戦略が必要です。“途上国モデル”の安売りはダメ。トヨタがいくら頑張っても、高級車分野ではベンツやBMWにかなわないじゃないですか。高級車ブランドのベンツの車だから、小型車も高く売れる。逆に、安い小型車を造るトヨタの車だから高級車も安いのです。安く働くことが良いことではなく、労働は高価だという“先進国モデル”に変えていく必要がある。

 

それから、地方の再生には農業とエネルギーがカギになると思っています。江戸時代の地方は林業とエネルギーで生計を立てていた。まきと炭です。日本中のエネルギーは農村でつくられていました。自然エネルギーの技術革新により、再び地方をよみがえらせることができる。「日本を取り戻す」と言うのなら、そういう形で、日本人らしい、自然と共生する道を取り戻すべきです。

 

そうして、世界に原発を売るのではなく、新しいエネルギーのシステムを輸出していく。これは外交、安全保障ともつながっています。日本は軍事力で世界の秩序を維持する仕切り役になるのではなく、新エネルギーで新しい価値をつくることで、途上国に尊敬される理想国家を目指すべきなのです。

 

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/156169/1