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東芝の不適切会計問題 新日本有限責任監査法人の「監査責任」にも注目(FGW)

2015-05-16 16:43:16

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東芝は、過去の決算の大幅修正が必要な不適切な会計処理が存在することを明らかにした。第三者委員会を設置して全容解明を図るとしているが、同社の会計監査を担当した新日本有限責任監査法人の責任にも注目が集まっている。

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東芝の不適正会計問題は、本サイトでも端緒となる社内調査委員会について報じている。http://financegreenwatch.org/jp/?p=50891

 

これまでの各紙の報道を総合すると、同社の不適切会計処理は①原子力や水力などの「電力システム事業」②送配電設備などの「社会インフラシステム事業」③ビル管理などの「コミュニティ・ソリューション事業」−−の3部門が中心とされる。

 

これまでの社内調査では、9件の工事で長期間にわたって原価の総額を過少に見積もったうえで、将来の売り上げを前倒しして計上していたとされる。これによって毎年の利益が水増しされていたことになる。また在庫の評価の妥当性も浮上している。

 

これらの処理によって、2012年3月期〜2014年3月期の3年間に計上した約6900億円の営業利益のうち、500億円強を下方修正する必要があるという。500億円のうちわけは、社内カンパニーの電力システム社で4件(約60億円)、社会インフラシステム社で4件(約300億円)、コミュニティ・ソリューション社で1件(約140億円)。

 

新たに設立された第三者委員会は、委員長に元東京高検検事長の上田広一弁護士が就任、他の委員は、丸の内総合法律事務所の松井秀樹弁護士、元日本公認会計士協会副会長の伊藤大義会計士、山田和保会計士の合計4人で構成する。調査対象は社内調査で判明した9件のインフラ関連工事以外のすべての部門と、海外を含む子会社に対象を広げる予定。

 

東芝の田中社長は「予算達成目標の位置づけが高く、内部統制が十分に機能しなかった可能性がある」と説明した。ただ、意図的な会計操作、不正があったかどうかは「調査結果を待ちたい」と述べるにとどめた。


15年3月期は期末配を見送る。復配するまですべての取締役・執行役の報酬を一部返上する方針で、田中社長自らは半分に減らすとした。shinnihonEYSN_Logo6_C_CMYK


 

東芝の監査は新日本有限責任監査法人が担当している。2014年3月期有価証券報告書によると、財務諸表監査においては、「東芝および連結子会社の連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める」との監査意見をつけている。また内部統制監査でも「すべての重要な点において適正に表示しているものと認める」と、問題のないと結論づけている。

 

今後の調査では、東芝の不適切会計処理に、監査法人が関わったのか、どうかも問われることになる。新日本有限責任監査法人はオリンパスの損失隠しを意図した粉飾決算事件に関連して、金融庁から公認会計士法違反の処分と業務改善命令を受けたことがある。

http://www.shinnihon.or.jp/about-us/news-releases/2012/pdf/2012-03-29.pdf