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影響拡大が懸念されるニュージーランドの油流出事故(WWF)

2011-10-19 12:09:11

油を防ぐために敷設されたオイルフェンス
2011年10月5日に、ニュージーランド北島のタウランガ沖で発生した船舶事故について、WWFは、事故による自然や野生生物への影響の全貌を、明らかにするのが当面の間困難である可能性を指摘しました。現地のWWFニュージーランドは現在、救護された野生生物の治療と、事故への緊急対応への支援を行なっています。

海と海鳥を油が襲う





今回の船舶事故について、ニュージーランドの海事当局は、およそ350トンの油が海に流出し、100羽を超える海鳥がその油に汚染されて死んだこと、また92羽が救護機関National Oiled Wildlife Recovery Centreに保護され、手当てを受けていることを明らかにしました。

この救護機関のメンバーに参加している、WWFニュージーランドの海洋担当ボブ・ズールは、現場の様子について次のように述べています。

「我々は被災した野生生物を探すために海岸で岩をづたいに捜索しましたが、海鳥を見つけるのは困難でした。3羽のコガタペンギンを救出しましたが、より多く回収したのは死体でした。ペンギンは昼間は岸に寄り付きませんし、保護した個体も具合が悪いようです」。

こうした海鳥については、日が落ちてからの救助活動で、救える個体があるかもしれない、ともズールは言います。

しかし、全体として現場で確認されている海鳥の状況は深刻です。

最も多く犠牲になっていると見られているのは、ミズナギドリ類です。さらに、モグリウミツバメ、ウ、ペンギン類も多く犠牲になっています。

しかも現地では、これらの海鳥の多くが、今ちょうど繁殖シーズンを迎えているといいます。

懸念される影響の長期化





死んで回収された海鳥の中には、油の汚れがひどく、種の判別が困難で、翼開長などの大きさで種を判別した例もありました。

絶滅の危機が指摘されているニュージーランドチドリとヒメアジサシへの影響も心配されます。
ニュージーランドチドリについては、油で汚染された海岸が重要な生息地であることが、すでに明らかになっています。

ズールは言います。

「私たちは、沖合い20メートルほどのところで、身体についた油を落とそうともがいている鳥(ウの仲間)を見ました。飛ぶことも、水に潜ることも出来ない様子でした。私たちは、その鳥に手が届かず、何も出来なかったのです。こんなに悲しいことはありません」。

WWFは10月13日、今回の船舶事故による影響が、どれほどのものになるのか、まだ当面把握するのが難しいことを指摘。さらなる悪化を警告しました。

現地のWWFニュージーランドでは、現在取り組んでいる野生生物の救護活動への支援を継続すると共に、事故の収束に向けた緊急対応について技術的な支援を行なっています。


油を防ぐために敷設されたオイルフェンス

http://www.wwf.or.jp/activities/2011/10/1021118.html