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地球の「終末時計」 残り時間はあと3分。核の脅威と温暖化の脅威、続く。米科学者雑誌が評価(RIEF)

2016-01-27 12:46:51

shumatsuキャプチャ

  「残り3分」--原子力の脅威を警告する科学者で構成する米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」は26日、地球最後の日まで「残り3分」とする『終末時計』を発表した。

 

 「Bulletin of the Atomic Scientists」は1945年、米国が日本の広島と長崎に落とした原爆開発の「マンハッタン計画」に従事した科学者たちが、核兵器がもたらした結果の大きさへの反省から設立した。「終末時計」は、核攻撃による人類の滅亡の日までの時間を象徴的に示すもので、終末を示す午前零時までの残された時間を毎年表示している。

 

 2016年の「残り3分」は2015年と同じ。福島原発事故が起きた翌年の2012年にそれまでの「6分」から1分進めて「5分」になっていた。昨年は核兵器の近代化や、北朝鮮などの核兵器開発への懸念と、気候変動対策への取り組みの進展が見られないなどの理由で、時計の針は2分進められた。

 

 同誌は核の脅威だけでなく、地球規模の気候変動問題についても、人類破滅の重要要因としてとらえている。

 

 今年の評価は、昨年の7月にイランの核開発問題が一応、決着したことと、12月のパリでの国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で2020年以降のグローバルな温室効果ガス削減目標を産業革命以前から2℃未満に抑制する合意ができたことなどを評価し、時計の針は据え置かれた。

 

 同誌はイラン問題とCOP21合意を評価する一方で、米ロの対立が冷戦崩壊後最悪の状態で続いているほか、ウクライナ、シリアの紛争が激化していることや、COP21の合意には義務的な規定がないことなどをあげて、時計の針の進行を据え置いた。

 

 特に核不拡散交渉が進まない中で、米国は今後10年に核兵器の近代化とインフラ整備のために3500億㌦を拠出する計画を立てており、ロシアもそれに対抗する姿勢を強めている点を憂慮している。また中国による南シナ海進出問題についても対立のエスカレーションとなる懸念を示している。

 

 このほか、テロの拡大、北朝鮮の核兵器拡大の懸念、インド・パキスタン間の緊張、サイバー攻撃の脅威などを挙げている。

 

 同誌が、もっとも時計の針を進めたのは、1953年で「残り2分」だった。前年10月に米国が旧ソ連との対立を意識して水爆実験に踏み切ったことへの危機感を示した。現在の残り時間は、当時に比べて「1分」しか違いがない。

http://thebulletin.org/timeline