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バルーチャウン第2水力発電所>ODA再開可能性に現地から反対の声(メコン・ウォッチ)

2011-11-07 12:23:27

日本はバルーチャウン水力発電所に関連した人権侵害を調査するべき ― 新たな援助を検討する前にーー        ビルマ河川ネットワーク(BRN)、カレンニー開発調査グループ(KDRG)

プレスリリース
2011年11月2日

ビルマ河川ネットワーク(BRN)及びカレンニー開発調査グループ(KDRG)は、ビルマ国内でダムによって影響を受ける住民を代表する団体である。両団体は日本政府に対し、ローピタ(バルーチャウン)第二水力発電所への新たな支援を検討するよりも先に、同発電所に関連する人権侵害の状況を調査するよう求める。同発電所は、第二次大戦後に日本の戦後補償によって建設された。

2011年10月21日、日本外務省はローピタ第二発電所の改修のために政府開発援助(ODA)を行うことを検討していると発表した。ビルマ政府が民主化に向けて前進していると日本政府が評価したことを受けてのことだった。

ローピタ水力発電所の建設時には1万2,000人以上が強制的に移住させられた。数千人のビルマ国軍兵士が建設工事の警備をしに地域に入り、周辺住民は強制労働、性暴力、超法規的処刑などの残虐行為を受けた。水も、水力発電所に優先的に回されたため、周辺住民は水不足に直面。ダムの放流によって作物が台無しになったこともあった。今日、発電所や送電塔の周辺には約1万8,000個の地雷が埋設されていると推定されている。水力発電所のためにこうした多大な犠牲を払っているにもかかわらず、発電所が生産する電力の大半はビルマ中央部に送られるため、周辺住民の80パーセントは電気のない生活を送る。

2011年9月には豪雨があり、ビルマ国軍はローピタ水力発電所用の貯水ダムから警告なしに水を放流した。このため下流の複数の郡で洪水により大きな被害が出て、水力発電所の管理のまずさが露呈した。

カレンニー開発調査グループのクートーレー氏はこう述べる。「今日も、ローピタ水力発電所は地雷に囲まれており、周辺住民は送電線の見張りを強制されている。日本政府は国軍が支配するビルマ政府への援助を検討するよりも先に、発電所周辺で続いている人権侵害を調査するべきだ」

ビルマで内戦や人権侵害が続いているにもかかわらず、日本を始めとして複数の国が、ビルマへの投資や援助の再開を検討している。少数民族住民が政治的権利を求めて闘争を続けるシャン州、カチン州、カレンニー州、そしてカレン州で、水力ダム建設プロジェクトの近くで武力紛争が起きている。
ビルマ河川ネットワークのサイサイ氏はこう述べる。「今は、ビルマへの大規模な投資をするべきときではない。ビルマでの水力開発事業は周辺住民に恩恵をもたらすどころか、人権侵害を引き起こしている」

連絡先:
Mr. Sai Sai +66 88 4154386
Mr. Thaw Reh +66 98 356128
Ms. Eh Lily + 66 8 1 366 0621

ローピタ(バルーチャウン)水力発電所についての報告書:
http://www.burmariversnetwork.org/images/stories/publications/english/dammed-english.pdf

ローピタ水力発電所用のダムからの放流による洪水被害についてのプレスリリース:
http://www.burmariversnetwork.org/actions/press-releases/23-press-releases/695-dam-induced-floods-spur-calls-to-suspend-new-chinese-dams-in-burmas-karenni-state.html

(出典:Burma Rivers Network and Karenni Development Research Group, “Japan should investigate abuses at Burma hydropower project before considering new support,” November 2, 2011.)

<プレスリリースは以上>

【参考資料】
・バルーチャウン第二水力発電所(メコン・ウォッチ)
・カレンニー開発調査グループ「ビルマ軍政下のダム開発 カレンニーの教訓、バルーチャウンからサルウィンへ」(2006年3月)
  日本語版
  http://www.burmainfo.org/article/article.php?mode=1&articleid=489

  原文(英語)
  http://www.burmariversnetwork.org/images/stories/publications/english/dammed-english.pdf

・ローピタ(バルーチャウン)水力発電所用のダムからの放流による洪水被害について、カレンニー開発調査グループ(KDRG)プレスリリース(2011年10月4日)(英語)
http://www.burmariversnetwork.org/actions/press-releases/23-press-releases/695-dam-induced-floods-spur-calls-to-suspend-new-chinese-dams-in-burmas-karenni-state.html

(文責・翻訳 秋元由紀/メコン・ウォッチ)

http://mekongwatch.org/resource/news/20111104_01.html