HOME12.その他 |水銀規制の「水俣条約」第一回締約国会議、ジュネーブで開催。出席した胎児性水俣病患者の坂本しのぶさん「水俣病は終わっていない」と訴える。患者認定問題、埋め立て水銀廃棄物問題など(各紙) |

水銀規制の「水俣条約」第一回締約国会議、ジュネーブで開催。出席した胎児性水俣病患者の坂本しのぶさん「水俣病は終わっていない」と訴える。患者認定問題、埋め立て水銀廃棄物問題など(各紙)

2017-09-25 13:23:03

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 スイス・ジュネーブで「水銀に関する水俣条約」の第1回締約国会議が開かれた。 各紙の報道によると、会議を主催する国連環境計画(UNEP)は、世界の小規模な金採掘場で推計1500万人が精製に使う水銀にさらされていると警告、参加各国に条約履行と規制強化を求めた。 会議では、熊本県水俣市の胎児性水俣病患者の坂本しのぶさんが「水俣病は終わっていない」と訴えた。

 「水俣条約」は今年8月に発効した。日本や米国、中国やEU、アフリカ諸国など74の国と地域が締結した。加盟国には、新規の水銀鉱山の開発禁止、一定量以上の水銀を使った蛍光灯や温度計などの製造・輸出入の禁止、水銀廃棄物の適正管理等が義務付けられる。

 ただ、UNEPが加盟国を中心とした33カ国・地域を対象に実施した最近の調査では、アフリカや東南アジアなどの約20カ国では、水銀を含む蛍光灯や温度計、電池などが他のゴミと一緒に回収され、処分されていたり、回収されないまま野ざらしにされたり、焼却されるなどの不適切化状態が続いているという。また小規模な金採掘現場からの水銀放出が続いていることも確認された。

 

 締約国会議の開催式典に出席した坂本さんは、総会で非政府組織(NGO)代表として演説、「水俣病は終わっていない」と訴えた。また「女性や子どもを水銀から守らねばならない」と述べ、人体に有害な水銀規制の必要性を強く訴えた。坂本さんは中学3年だった1972年、国連人間環境会議が開かれたスウェーデン・ストックホルムの会議にも参加、水銀被害の深刻さを身をもって世界に伝えた。今回の欧州訪問はそれ以来45年ぶり。

   会議には日本をはじめ、米国、中国など150以上の国・地域が参加し、29日までの会期中、水銀による環境汚染や健康被害の防止について議論する。28~29日の閣僚級会合では80カ国以上の代表が演説の見通し。小規模な金採掘場での水銀被害が深刻な南米ガイアナの大統領が実情を報告する。

 UNEPによると、水銀による環境汚染は、小規模な金採掘場と石炭火力発電所が2大要因。うち金採掘場はアジア、アフリカ、中南米など70カ国以上で推計1500万人の作業員と家族に健康被害のリスクがあるという。

  「水俣病は終わっていない」と坂本さんが述べた背景は、こうした海外での水銀汚染が続いているだけではないようだ。日本での水俣病患者の認定問題は依然、解決しておらず、裁判が続いている。また現地の水俣市でも、長年にわたって原因企業のチッソが投棄した水銀汚泥を埋め立てた処分場の安全問題が指摘されている。「くさいものにフタをしただけの環境行政」への不信感は今も根強い。http://rief-jp.org/blog/69703

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017092401001795.html