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中国沖で沈没したイランのタンカー「サンチ」号から流出した大量石油、すでに鹿児島・奄美諸島等の海岸で相次いで打ち上げられる(各紙)

2018-02-02 14:33:19

oil9キャプチャ

 

 中国沖で炎上・沈没したイランの石油タンカー「サンチ」号からの石油大量流出が続いているが、すでに鹿児島県のトカラ列島の宝島(鹿児島県十島村)の海岸で、大量の油の塊が打ち上げられたほか、奄美本島でも海岸汚染が見つかった。

 

 第10管区海上保安本部(鹿児島市)によると、宝島での油の塊は、島の海岸約7kmにわたって打ち上げられているという。奄美大島の漂着物は、島の東シナ海側の広い範囲で見つかっている。奄美市の朝仁海岸では500mにわたって油の塊が点在しているという。現地からの報道によると、塊は、触ると弾力があり、鼻を突く油の臭いがするという。https://digital.asahi.com/articles/ASL215G6SL21TLTB010.html

http://news.ktstv.net/e73713.html

 

 サンチ号から流出したのは軽質石油のコンデンセート約13万6000㌧分。天然ガスの採取の際に凝縮分離した液状炭化水素で揮発性が高いので、原油漏れほどの大きな影響はないとみられているという。ただ、海中に溶けた分は、毒性をもち生態系に影響を及ぼすほか、タンカー自体に積み込まれていた燃料用の重油1900㌧も流出した可能性が高い。

 

トカラ列島の宝島の海岸に打ち上げられた油の塊
トカラ列島の宝島の海岸に打ち上げられた油の塊(鹿児島テレビより)

 

 環境NGOのグリーンピースによると、コンデンセートには硫化水素やメルカプタンなどの有毒成分が含まれており、揮発によって大気汚染につながるリスクもある。事故が起きた海域は、キグチ、サバ、タチウオなどの漁場としても知られる。http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/Factsheet_oiltanker.pdf

 

 また中国政府の説明によると、現在、油の除去作業のために中国当局の船5隻が出動しているほか、日韓の応援も得ているという。汚染拡散対策として海面に800m近い吸油ロープを張るなどして流出を抑える方針という。しかし、沈没したタンカーの船体に最大35mの穴が開いており、船体からの流出が止まらない恐れもあるとしている。