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国連グローバルコンパクトが“批判”を封じ込め?(IPS News)

2011-03-29 00:00:21

国連主導のCSR活動として知られるグローバル・コンパクト(GC)を評価した国連の独立委員会(JIU)が、GCは、署名企業の人権、環境配慮の監視が十分でないと、評価した報告を年初にまとめていたことがわかった。ところが、同報告が外部公表されたのは、日本の地震・原発問題に世界の関心が集中していた先週だった。

グローバルコンパクトは、国連の前事務総長のコフィ・アナン氏が主導て1999年に恥じ得られたCSRの基本ガイドラインとして知られる。人権擁護、環境配慮、労働権、汚職禁止などの10項目が示され、賛同・署名した企業は、GC参加企業としてBCのロゴを活用できるなど、CSR先進企業として世の中にアピールすることができる。

GCの活動をチェックしたのは、ジュネーブに本拠を置く独立系の外部機関、Joint Inspection Unit (JIU)で、結論的に「全体として、GCは国連による民間セクターとの、新たなパートナーシップの構築などの協働に成功してきたといえる。ただ、そのパートナーシップの効果はまだ十分に見えていない。また、参加企業が真の経営方針の改革に導くことにはあまり成功していない」と指摘している。

この分析レポートは今年の初めにまとめられていたが、先週、報道資料が公開されるまで、外部にほとんど知られることがなかった。GCは即座に「報告は間違いが多く、不正確な点も多い」と批判、修正を求めると反発している。その一方で、報告の主要執筆者である Papa Louis Fall 氏は「明らかに報道陣への接触を禁じられている」とIPSは報じている。

GCは、企業がNGOなどのステークホルダーとの協働を “learn and dialogue”することを促進し、これまで135カ国の7,450機関を数えている。企業だけではなく、NGOや企業組織、学会なども加わっている。国連の民間セクターを巻き込む活動の成功事例とみなされてきた。参加機関の43%が欧州企業で、米企業は5%、中南米24%、日本を含むアジア20%、アフリカ6%、中東2%という構成。

しかし、報告書は、そうした参加企業数の増加が、質の低下につながっているとの懸念を示している。そのため、GCへの参加資格をもっと厳格にすべきとしている。現在は、企業のCEOが10原則を ビジネス戦略の中核に据えるとの書面にサインをするだけで、実際にそうしたかどうかの保証は十分になされない、ためである。参加企業のモニタリングが不十分であるという点は「GCのアキレス腱だ」と指摘している。