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ニュージーランド政府、使い捨てプラスチック袋の使用、今後1年で禁止措置。最大730万円の罰金付き(RIEF)。

2018-08-10 22:54:36

プラスチック袋全廃を宣言したニュージーランドのアーダーン首相

 

  ニュージーランド政府は10日、廃プラスチックによる海洋汚染を減少させるため、国内での使い捨てのプラスチック製買い物袋の使用を今後1年間で廃止する法制化をすると宣言した。ジャシンダ・アーダーン首相は「使い捨てプラスチック袋を段階的に消滅させることで、環境に貢献するとともに、わが国のクリーンで、グリーンな評価を高めることができる」と強調した。

 

写真は、プラスチック袋全廃を宣言したニュージーランドのアーダーン首相)

 

 同国政府の発表によると、小売事業者は6カ月間の猶予期間に、使い捨てプラスチック袋を他の手段に代替させるか、最大10万ニュージーランド㌦(約730万円)の罰金を払うかの選択を迫られることになる。法規制の詳細は明らかにされていないが、来月中に詳細な協議をするという。

 

 アーダーン首相によると、プラスチック袋使用禁止の実施期日や、移行期間において政府がどのような支援を講じるかなどについて、意見のある人は9月14日までに政府に意見表明できるという。

 

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 首相はこうした判断に至った理由として、これまで6万5000人からの禁止署名の提出を受けたことや、「子どもたちが私に送ってくる手紙の中で、もっとも多い『お願い』が、プラスチック袋はいらない、というものだった」と述べている。

 

 実際、同国はプラスチック袋の使用比率が先進国中でも最も多い水準にある。政府のデータによると、国民一人当たりのプラスチック袋の年間使用量は750mの大きさの袋換算で154袋という。

 

 すでに同国の大手スーパーマーケットチェーンや大型小売店グループなどは、政府の政策を先取りする形で、今年末にはプラスチック袋を全店舗で使用中止する準備を進めているという。政府の今回の法的規制も、こうした民間事業者の動きを踏まえたものともいえる。

 

 アーダーン政権の今回の対策について、野党リーダーのサイモン・ブリッジ氏は「今回の政府の方針は、すでに前政権の政策によって、民間企業等が取り組みを進めているものを『low-hanging fruit(容易に解決できる問題)』としてアピールしているだけだ。法規制や高いコストをかけなくても、プラスチック袋の75%以上の削減は民間の力だけで可能なのだ」と指摘、アーダーン政権の人気取り政策だと批判している。

 

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 国連によると、2002年にバングラデシュでプラスチック袋の使用禁止が法制化されて以来、すでに世界中で40カ国以上が使用禁止措置を講じている(日本は含まれていない)。2003年に規制を導入した南アフリカでは、国中に廃棄プラスチック袋があふれかえっている状況を打開するため、違反者には罰金だけでなく、刑事罰として、プラスチックを使用した期間に応じた留置措置を課するなどの措置を講じてきた。

 

 環境保護団体グリーンピースなどは、ニュージーランドの海岸で見つかるごみの中で、もっとも多いのが使い捨てのプラスチック袋だと指摘。ウミガメやクジラなどの海洋生物が餌と間違って食べてしまい、死亡に至るケースも少なくないとして、同国政府の対応を歓迎している。

 

 国連は6月、全世界で毎年最大5兆枚、1分当たりにすると約1000万枚のプラスチック製の買い物袋が使われているとの報告を公表している。これらのプラスチック袋の大半が再利用されず、ゴミとして焼却されたり、廃棄されたりしている。廃プラスチック問題を打開するには、使用禁止措置だけでなく、プラスチックに変わるリユース、リサイクル可能な安全素材の開発が求められる、としている。

 

https://www.govt.nz/