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廃プラスチック問題で、国内化学5団体が「対応協議会」設立。三井化学など約40社が参加。廃プラ削減対策や代替品開発等に取り組む(各紙)

2018-09-08 16:43:26

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  各紙の報道によると、廃プラスチックによる海洋汚染問題に対応するため、日本化学工業協会などの化学業界5団体が、「海洋プラスチック問題対応協議会」を設立した。新団体には、三井化学、三菱ケミカルホールディングスなどの大手化学メーカーなど40社・団体が参加し、廃プラの削減対策や、代替製品の開発などを検討することになる。規制回避の業界対応ではなく、新たな市場構築の方向性を見出せるかが課題だ。

 7日に発足した協議会では、業界としての対策や協力体制を議論することを確認した。協議会の活動の具体的なスケジュールは今後詰める。当面、2019年に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に向け、各国や地域によって異なる廃プラの実情を調査するほか、代替材料などの情報を発信していく、としている。

 協議会の会長には三井化学の淡輪敏社長が就任、同氏は記者会見で「化学産業界が率先して取り組むべき問題だ。グローバルな協議の場でも積極的な提言を行いたい」と前向きな姿勢を述べた。

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 ただ、海外で国主導でプラスチック規制や削減目標の設定など政策主導の動きが広がっていることに対して、同氏は「規制への考え方は非常にデリケート。規制した時のダメージについての検証もする必要がある」と、慎重な姿勢も示した。

 廃プラ問題は世界的に注目されており、使い捨てストローやプラスチック袋の使用中止・撤去などの動きが広がるとともに、生分解性プラスチックの開発などの競争も本格化しつつある。

 淡輪氏は、「大切なのはプラスチック廃棄物が河川に流出しないこと。日本が果たすべき役割は大きい」と述べ、日本で定着している分別回収などリサイクルの仕組みについてアジアの新興国に助言する考えを示した。しかし、自国でしっかりとした規制対策をとらずに、技術支援などだけで海外を支援できる時代でもない。

 

 化学品業界では「レスボンシブル・ケア」として、化学製品の安全性、環境影響、防災、労働安全等に配慮することを業界全体で宣言している。廃プラ問題はまさに、化学品業界の「責任ある注意」が問われるテーマでもある。

 

 国内のプラスチック生産・使用体制の再確認とともに、製造物責任などの法体制を確立し、廃プラ対策と代替製品対策を両建てで打ち出してこそ、グローバル課題を解決するグローバル市場の創設につなげることができるはずだ。化学工業業界の知恵と決断が求められる。

 

 海洋への廃プラ投棄や、大気中のプラ微粒子の浮遊などによる健康問題は、明確な影響分析ができていない面もある。各国の水道水や食用塩などにもプラ微粒子が含まれていることが確認されているが、その健康影響については未解明な部分もある。協議会ではこうした分野の委託研究も進める、としている。

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