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国際標準化機構(ISO)生分解性プラスチックの海洋中での分解評価の基準「ISO22766」制定へ。廃プラの海洋汚染対策での普及増大の期待。2020年にも発行(RIEF)

2018-10-22 08:30:51

ISO2キャプチャ

 

  国際標準化機構(ISO)は、生分解性プラスチックの海中での分解速度を評価する国際規格ISO22766を開発中で、2020年にも発行する見通しだ。プラスチックごみ対策で生分解性プラスチックへの切り替えに期待が高まる中で、実際に分解性能を評価する国際基準が確立されることで、廃プラ対策の前進が見込まれる。

 

 プラスチックの環境への影響や対策を進めるISO国際規格は、ISOの中でプラスチックの規格を扱うTC61のうち、環境とプラスチックの関係を担当する分科委員会(SC14)で進められている。SC14では現在、14の新規格が開発中。このうち、生分解性プラスチックの海洋中での分解度を評価・測定する規格22766は、WG2で作業が進められている。

 

 生分解性プラスチックは、生物資源(バイオマス)由来のバイオプラスチックと石油由来のものに分かれる。いずれも微生物により完全に消費され、水や炭酸ガス、メタンなどの自然的副産物に分解される。とうもろこしなどのでんぷんなどを原材料とするものが多い。

 

ISOPlasticキャプチャ

 

 海洋汚染の原因である廃プラスチックの代替品としての期待が高まっている。ISOは、各種の生分解性プラスチックが海の中で微生物などの働きで分解する速度を測定する手順や方法論の標準化を目指している。現状は、生分解性をうたう各種商品の分解性能の測定方法の基準がないことから、普及の障害の一つにもなっている。

 

 現在の審議案では、分解性能を評価する方法として、製品を海の中に実際に沈めて3年ほどで分解する程度を調べるほか、実験室で最長2年間、CO2と水等の自然物に完全に分解するかを調べる、といった測定法の基準化案が軸という。これらの基準に適合する製品はISOの認証を得ることができ、普及に拍車がかかると期待される。

 

 作業は現在、WGレベルから分科委員会案(CD)レベルに段階をあげて進められている。次のステップである国際規格原案(DIS)に移行する手順で、順調に進めば、各国の投票を経て、2020年にも正式に発行する見通し。

世界のバイオプラスチック生産量の予測ト『Bioplastics market data 2017』
世界のバイオプラスチック生産量の予測『Bioplastics market data 2017』

 

 世界でのプラスチックの生産量は年間約3億2000万㌧。これに対して生物原料で非生分解性のものも含めたバイオプラスチックは205万㌧(2017年)で1%以下でしかない。生分解性プラスチックに限ると88万㌧。ただ、プラスチックの代替品としての需要が増え始めており、2022年にはバイオプラスチック全体で約244万㌧に、生分解性プラは108万6000㌧に増大すると予想されている。http://www.jsim.or.jp/kaigai/1804/003.pdf

 

 今回の規格づくりでは、廃プラを主導する欧州勢が主導した。専門委員会にも、生分解性プラを製造・販売するドイツのBASFやイタリアのノバモントの研究者らが参加し、規格化の細部の決定で主導権を握っているという。

https://www.iso.org/home.html