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帝人、自社の生分解性プラスチック製造技術を欧州企業に供与、国内での製造は撤退。ライセンス収入と、製造は外部調達に切り替え(RIEF)

2018-10-17 13:31:24

teijin2キャプチャ

 

   各紙の報道によると、帝人は生分解性プラスチック「ポリ乳酸」の製造から撤退した。保有する製造技術を、仏エネルギー大手トタルと蘭化学メーカーのコービオンの合弁会社に供与し、国内の製造設備については廃棄したという。生分解性プラスチックは、プラスチック汚染対策での需要が増大するとみられているが、同社では、製造技術のライセンス収入を得ながら、製品製造については、ポリ乳酸を外部から調達して自動車等の部材に加工する事業に集中するとしている。

 

 同社のポリ乳酸は「バイオフロント」の商品名で、自動車や電子電気部品、アパレル、医療品、パッケージ、土木建設等に広く応用されている。従来のポリ乳酸よりも耐熱性に優れ、生地に加工した場合は、アイロンの熱にも耐える性能を発揮する。帝人はこれまで、愛媛・松山工場で、自動車や家電企業などと、ポリ乳酸技術を活用した製品を共同開発してきた。

 

 生分解性を確保する場合、耐久性に難があるケースも少なくないが、同社のポリ乳酸には、ポリマーの分子構造を制御する新たな添加剤を取り入れており、耐加水分解性能が大幅に向上、地中に埋めた際の生分解性と、エンジニアリングプラスチックとして多様に利用できる耐久性の確保が可能という。

 

帝人が開発したポリ乳酸
帝人が開発したポリ乳酸

 

  廃プラスチック問題が社会的にも大きく取り上げられ、市場拡大が見込まれている欧州では、主要各社による生分解性プラスチックの関連製品の開発が進んでいる。今回、帝人が技術供与先のトタルとコービオンの合弁会社は、2016年11月の設立。ポリ乳酸市場で世界の20%のシェア確保を目指しており、世界最大のポリ乳酸メーカーになるとみられているという。

 

 やや古いデータだが、帝人のこの分野での国内の位置は、生分解性プラスチック技術の特許保有ランキングをみると、民間調査会社(Patent Result)の2012年データで、ユニチカがトップ、ついで東レ、三菱樹脂の順で、帝人は4位。

 

 生分解性プラスチックは今後の市場拡大が見込まれ、報道を受けた東京証券取引所での帝人の株価は、資本効率改善への期待から、株価は上昇した。

 

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