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クルーズ船の燃料に、「死んだ魚」を原料としたバイオガス活用。「グリーン・クルーズ」に転換。ノルウェーの冒険型クルーズ最大手が導入へ。来年にも(RIEF)

2018-11-28 23:49:30

norway1キャプチャ

 

  クルーズ船の重油による環境負荷縮減のため、死んだ魚を原料とするバイオガスを活用する「グリーン・クルーズ」の導入を、ノルウェーのクルーズ船運航大手のフッティルーテン(Hurtigruten)社が打ち出した。早ければ来年中にもバイオガス燃料の第一号の「グリーン・クルーズ」が運航する。

 

 フッティルーテンは、北欧のフィヨルド観光クルーズなど、冒険タイプのクルーズ観光ツアー用に17隻の大型クルーズを保有し、世界最大を誇る。同社はこれまでも、大型客船が使用する重油による海洋汚染やGHG排出などの環境負荷を軽減するため、蓄電池の搭載等のグリーン化を進めてきた。

 

 今回、国内の大規模漁業によって出た魚の死骸と他の有機廃棄物と混合して液化バイオガス(LBG)を生成し、重油の代わりに船の燃料にする。同社が運航する17隻のクルーズ船のうち6隻について、2021年までにバイオガスと蓄電池、それに化石燃料の中ではクリーンな液化天然ガス(LNG)を組み合わせた燃料で運航できるようにするという。

 

 ノルウェーの主要産業である漁業と林業では、漁獲・加工後に膨大な量の有機廃棄物が生み出される。これらからバイオガスを生成し、すでに陸上のバス運行に活用している。バスが走るなら、クルーズ船も走れるはず、というわけだ。

 

 欧州の主要環境NGOの「ドイツ自然保護連盟(Naturshutzbund Deutscheland: NABU)」によると、重油を燃料とする大型クルーズ船はCO2を大量に排出するほか、1日に車100万台が排出するのと同量の微粒子(PM)を排出するという。

 

 同社CEOのダニエル・シェリダン(Daniel Sljeldam)氏は「他の人たちが厄介な問題と見なすものでも私たちは資源や解決策と考える」「ライバル会社は価格が安いという理由だけで重油を使うが、環境を悪化させている。われわれのクルーズは自然の力で運航する。環境に大きなプラスとなる。他社も追随することを期待している」と語っている。

 

 さらに来年には、船内で使い捨てプラスチックを全廃し、最初の「プラスチックフリー・クルーズ」を実現する。また世界初のバッテリー・ハイブリッド型クルーズ船も現在、3隻分を建造中。来年以降、1隻ずつ就航させる予定だ。バッテリー・ハイブリッド船は完全にクリーンで、南極クルーズ等の汚染が許されない海域を中心に就航させる計画だ。

 

 同社ではこうした「グリーン・クルーズ」化のために、総額8億5000万㌦を投じる予定。シェリダン氏は「これらは始まりに過ぎない。われわれは世界最大の冒険型クルーズ船企業として責任を果たさねばならない。サステナビリティは新しい時代の船会社にとってもカギとなる言葉だ」と付け加えている。

https://global.hurtigruten.com/about-us/press/mynewsdesk/#/pressreleases/hurtigruten-to-power-cruise-ships-with-dead-fish-2799848