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タイで保護されていたジュゴンの赤ちゃん「マリアム」死亡。体内から廃プラスチック片8個も検出。海藻と間違って食べた疑い。タイでは今年16頭目の死亡(各紙)

2019-08-19 10:49:05

jugon1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、タイで保護されていた絶滅危惧種のジュゴンの赤ちゃん「マリアム」が、体内にたまったプラスチックゴミによる体調悪化の影響で、死んだ。マリアムはタイ南部クラビ県で4月に保護され、浅瀬で飼育されていた。

 

 マリアムは雌で、生後約8カ月。タイ天然資源・環境省によると、波の穏やかな浅瀬で、獣医師らが特殊な授乳器でミルクを与えたり、母親に代わって海草の食べ方を教えるなどして、育てていた。

 

 しかし、10日に野生の雄ジュゴンに攻撃されたことをきっかけに、体調が急激に悪化。血圧が上昇し、ミルクを飲まなくなった。15日に飼育プールに移して治療したが、17日未明に呼吸が止まり、死亡が確認された。

 

「マリアム」の体内から見つかった廃プラスチック
「マリアム」の体内から見つかった廃プラスチック

 

 解剖したところ、腹部には、雄ジュゴンに襲われた際にできたとみられる外傷があったほか、消化器に少なくとも8つのプラスチック片が詰まっており、ガスが充満していた。このプラスチック片のため、臓器障害や炎症が起きていた。呼吸器感染症による膿も蓄積していた。

 

 獣医チームは呼吸器感染症を治療したが、体内のプラスチックごみは手の施しようがなかったと説明している。同省は、海藻と間違えて廃プラスチックを食べ、それらに他の要因が加わって、死んだと判断している。

 

 マリアムとは別に7月に保護された雄「ジャミル」(生後約5カ月)は、南部プーケットの施設内で育てられている。飼育には、ジュゴン飼育で実績のある日本の鳥羽水族館(三重県)の係員が指導にあたっているという。

 

 タイ沿岸では近年、廃プラ汚染が深刻化しており、昨年6月には死亡したクジラの胃から約80枚のポリ袋が見つかるなどの事態も起きている。ジュゴンはタイに推定250頭が生息しているとされる。

 

 しかし、18日にもクラビ県の海で、別の雌ジュゴン1頭の死亡も確認されている。環境保護団体によると、今年だけで例年の2倍のペースの16頭が死亡しているという。自然死だけでなく、漁網に絡まったり、プラスチック誤飲等の「人間活動」が死因になっているケースが増えている。

 

 ジュゴンは、東南アジアや豪州、沖縄等にも生息するが、絶滅の危機が増していることから、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに指定されている。

https://www.cnn.co.jp/world/35141388.html

https://digital.asahi.com/articles/ASM8L56FJM8LUHBI00L.html