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ヤフー、「ヤフオフ!」等での全象牙商品の取引を禁止へ。11月実施。国内の「合法市場」からの密輸等の増加に対応。規制に手間取る政府(環境省)に先行して自主決断(RIEF)

2019-09-01 21:01:55

Elephant1キャプチャ

 

 ヤフーは、ネットオークションサービスの「ヤフオク!」等のe-コマースサービスでの全象牙商品の取引を禁止する、と発表した。11月1日から実施する。楽天、メルカリに次ぐ対応だ。環境NGOのWWF Japanは、同社の対応を歓迎するとともに、対応が遅れている政府・環境省に対して引き続き、政策見直しを求めていくとしている。

 

 象牙取引禁止の対象となるのは、「ヤフーYahoo! ショッピング」での販売、「ヤフオク! 」などでの全ての出品。ヤフーはオンライン取引市場では最大規模だけに、禁止の影響は大きいとみられる。

 

 象牙製品は、野生ゾウの密猟の元凶となっている。 「ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)」では、国同士の間で行なわれる「国際取引」が禁止、象牙もその対象になっている。

 

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 しかし、日本などの複数の国々では、国内で在庫として存在する象牙や象牙製品については、「合法的な取引」として認めている。ところが、日本の「合法市場」から、少なからぬ象牙が、中国などの海外へ違法に密輸される事態が起きていることが、WWF野生生物取引監視部門のTRAFFICの調査で明らかになっている。

 

 ヤフーではこれまで、「種の保存法に照らして国内で適法な象牙取引の機会を提供してきた」としてきた。だが、「ヤフオク!」等を通じて、国内にて取引された象牙が、その後外国へ違法に持ち去られ、外国の税関で摘発される事件が複数例報告されたことを重視。

 

 今般、「摘発案件を深刻に捉え、また象牙取引を巡る国際情勢に鑑み、環境団体からの助言も踏まえ慎重に検討を重ねた結果、全象牙製品の取引の禁止を決定した」と説明している。

 

 取引禁止となる主な商品は、象牙で作られた印鑑(ハンコ)、アクセサリーや彫刻、数珠、三味線や琴などの和楽器で使われるパーツ、箸を含む食卓用具など。こうした製品の材料となる、印材やカットピース、牙一本の状態を保持する全形牙なども取引禁止になる。また、象牙を取り扱う事業者だけでなく、非事業者としてオークション出品を行なう個人も対象になる。

 

 WWFジャパン事務局長の筒井隆司氏は「今回のヤフーの決断は、日本における野生生物の違法取引の課題解決のために前進となる。国際的に象牙取引の政策強化が進む中、同社が取引継続のリスクを十分に考慮し、自主的に取引停止の判断を下したことを歓迎する」と述べている。

 

 これまでネットオークション等のでの象牙取引については、2017年に、楽天とメルカリが自社判断で、象牙製品の取り扱いの禁止を実施。日本最大級のハンドメイドマーケットminneを提供するGMOペパボも今年2月~3月、すでに禁止対象としていた象牙を含む野生生物由来の製品の出品について、ユーザーへ周知徹底を行なうなど、野生生物の違法取引の対策強化を実施した。

https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2019/08/28a/

https://www.wwf.or.jp/activities/achievement/4075.html