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日本や韓国等に原産地が限定される猛毒の「カエンタケ」、豪州のケアンズの熱帯雨林で発見。風や鳥が運んだのか、はたまた温暖化の影響か。謎が深まる(RIEF)

2019-10-06 17:03:46

Red1キャプチャ

 

  日本などに生息地が限られている猛毒キノコの「カエンタケ」が、数千km離れたオーストラリア北部のケアンズ(Cairns)周辺の熱帯雨林で発見され、話題を集めている。風や鳥などによって運ばれたのか、元々、生息していたのが見つかったのか。謎が深まっている。

 

 ケアンズの森林の中で、鮮やかな赤い色をした指のようなきのこが生えているのを、地元の写真家のレイ・パーマー(Ray Palmer)さんが見つけた。パーマーさんは自称、「キノコ写真家」。ケアンズの森で珍しいキノコの写真を約11年も撮り続けているという。

 

皮膚に触れるだけで毒素が体内に吸収される
皮膚に触れるだけで毒素が体内に吸収される

 

 パーマーさんはカエンタケを見つけた際、「毒キノコだ」と気づいたという。しかも「オーストラリアでは見たことのない種類」であることを確信、注意深く採取して、豪ジェームズクック大学(James Cook University)に持ち込んだ。同大の菌学者、マット・バレット(Matt Barrett)氏がカエンタケと同定した。

 

 カエンタケは、日本や韓国、さらにジャワ島などに分布する毒キノコ。ウィキペディアによると、触るだけでも皮膚から毒素が吸収されるほど毒性が強い。食用キノコや生薬等と間違って食べたり、煎じて飲んだりすると、嘔吐(おうと)や下痢、発熱、しびれなど数々の中毒症状を起こし、治療しなければ多臓器不全や脳損傷から死に至る。

 

 致死量はわずか3g程度と極めて強力。日本では過去に6例ほどの中毒事例が報告され、計10名の中毒患者が出ている。うち2名は死亡している。同定したバレット氏は、「これまで知られているカエンタケの分布域を著しく拡大する発見」と驚いている。

 

発見者の「キノコ写真家」のパーマーさん
発見者の「キノコ写真家」のパーマーさん

 

 しかし「第一発見者」のパーマー氏は「今回のキノコは私が見つけた珍しいものの最初のものではない。もっと多くのオーストラリアにはないはずのキノコを見つけてきた」と自慢する。

 

 オーストラリアの熱帯雨林がまだまだ未解明なのか、何らかの影響でこうしたキノコ類の地球規模での拡散が起こっているのか。はたまた、温暖化の影響で渡り鳥等のルートが代わり、鳥に付着して飛んできたのか。疑問は尽きない。

 

Red3キャプチャ

 

 明らかなことは、猛毒なだけに、決して触ったり、食べたりしないことだ。 「原産地」の日本でも、秋のキノコ狩りに出かける方はご用心。

https://www.abc.net.au/news/2019-10-03/deadly-fungi-poison-fire-coral-found-in-far-north-qld/11571162