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ブラジル・アマゾンの森林消失伸び率、8月までの1年間で過去10年間で最高の30%増。消失面積も同期間で最大規模で、東京都の4.5個分が消失(RIEF)

2019-11-19 12:10:34

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   ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)は18日、今年7月までの1年間でのアマゾン熱帯雨林の森林消失面積が過去10年間で最高の伸び率30%増だったと公表した。1月のボルサナロ大統領の就任後の開発政策が反映しているとの見方が広がっている。

 消失総面積は9762㎢で、2008年以来、最大となった。東京都の4・5個分、一日平均サッカー場2000個分が消えた形だ。

 INPEの観測データの公表に対して、ボルサナロ大統領は批判的で、前任所長のRicardo Galvao氏は8月に森林消失に対する政府の対応の不十分さを指摘したレポートを公表後、解任されている。

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 ボルサナロ政権は、経済成長を促すため、森林保護の規制や、アマゾン地域に住む先住民や自然資源保護策を緩和してきた。アマゾン消失に対する国際的な批判の高まりが続く中、今回、新たに消失増加のデータが出たことで、環境省は今週中に、アマゾン地域の州知事等との対応策の検討をするとしている。

 環境NGOのGreenpeace BrazilのCristiane Mazzetti氏は「ボルサナロ大統領の反環境政策は、アマゾン地域での環境犯罪を促進し、森林地帯で暮らす人々への暴力を推進している。政府はこれまで環境を守り、森林伐採を食い止めてきたすべての努力を無にしようとしている」と批判している。

 8月までの1年間で確認された火災件数は7万2000件以上とされ、前年比83%増とほぼ倍近い増加となっている。これは2013年に記録が始まって以来、最高の件数でもある。

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 さらに科学者のデータ分析では、7月の森林火災は過去3年間の平均よりも4倍も高い比率だったという。このうち自然火災ではなく人為による火災は前年より3倍増で、2010年以来では最高レベルに達した。周辺の農家や開発事業者が、農園や開発事業に使うために森林を焼き払う事例が拡大していることを示している。

 こうした観測データや分析データに対して、ボルサナロ政権は、「火災は歴史的平均値に比べて低いレベルにある」と反論している。政権によると、1994年~95年には今回の18~19年のデータの約3倍の面積が消失していた、と指摘している。

 ただ、過去の高率の森林伐採と消失による環境破壊の進行を是正するため、その後のブラジル政権は、アマゾンの環境保護策を進めてきた。ボルサナロ政権はそうした経緯を無視、従来の環境破壊のペースに戻ろうとしているようだ。同政権自体が、歴史的な「環境犯罪」にコミットしているとの批判はさらに高まりそうだ。

http://www.obt.inpe.br/OBT/assuntos/programas/amazonia/prodes

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/gcb.14872