オーストラリア、温暖化の影響で加速する山火事の拡大続く。シドニーでは大気汚染悪化で「危険レベル」の11倍状態に。豪政府、航空消火隊を増強(各紙)
2019-12-12 18:08:23
各紙の報道によると、記録的な山火事が続いているオーストラリア南東部ニューサウスウェールズ州で、山火事による大気汚染が悪化し、同国最大都市シドニーの一部地域では、大気の状態が「危険」とされるレベルの11倍にも上昇。住民の健康被害拡大の恐れが出ている。
(写真は、豪州政府の航空消火隊の消火活動の様子)
ロイター通信によると、州環境衛生当局の責任者はこの1カ月に発生した煙害について「これまで経験したことのない」規模だと語り、住民の健康被害に懸念を示した。すでに、多くの住民が目の痛みや鼻、のどの不快感を訴えている。特に持病のある人や幼い子ども、高齢者が危険にさらされているという。
シドニー市内ではオペラハウスやハーバーブリッジなど、観光名所も濃い煙に覆われた。火災報知器の誤作動が相次ぎ、シドニー湾のフェリーは欠航となった。ソーシャルメディア上の投稿によると、一部の学校では建物に煙が入り込み、子供たちは早退したという。
州消防当局によると、山火事は10日も州内83カ所で続き、消防士約2700人が消火活動にあたった。政府は、航空機から消火剤を投入する国営航空消火隊の140機を動員、広大なオーストラリアの原野の各地で上がる火の手を消火する作業を展開している。
しかし、気温の上昇に伴って延焼が広がる悪循環が続いている。シドニー郊外でも、少なくとも40カ所で延焼が続いている。政府の航空消火隊には、すでに昨年の倍の1100万㌦の費用が投じられている。ニューサウスウェールズ州では山火事の影響で先月以来、6人が焼死。720の家が破壊されたという。
スコット・モリソン首相は、消火活動の強化を指示しているが、同氏は山火事拡大の影響について温暖化が原因との立場をとっていない。例年起きる山火事の一つとの立場だ。トランプ米大統領と同様、温暖化問題に対しては「懐疑派」として知られる。マドリードで開いている国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)では、日本と並んで、「化石賞」を環境NGOから贈呈されている。
https://www.cnn.co.jp/world/35146710.html