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ロシアで「たった一人の温暖化対策を求めるストライキ」を実践していた若者、逮捕される。無許可デモの容疑。6日間の拘留。世界の若者たちに「激励の連帯の輪」広がる(RIEF)

2019-12-23 08:13:45

RussiaAlex1キャプチャ

 

  スウェーデンのグレタ・ツゥーンベリさんが始めた温暖化対策を求める登校拒否(School Strike)を、ロシア・モスクワで、たった一人で展開してきたアルシャク・マキシャン(Arshak Makichyan:25)さんが逮捕され、6日間の拘留措置を課せられた。世界中に広がる「School Strike」で逮捕・勾留された若者は初めて。

 

 (写真は、 COP25に参加したArshak Makichyan㊧から2人目)

 

 マキシャンさんは、グレタさんの行動に共鳴し、3月からモスクワの中心部のプーシキン広場の文豪プーシキンの像の前で、温暖化対策を求めるプラカードを掲げて立ち続けている。ただ、ロシアでは許可されたデモ以外は、2人以上が連れ立って抗議の意思表示をすることは禁じられているため、マキシャンさんは「一人抗議行動」を続けてきた。https://rief-jp.org/ct8/90178

 

たった一人の抗議行動を続けてきたマキシャンさん
たった一人の抗議行動を続けてきたマキシャンさん

 

 マキシャンさんの思いは、グレタさんと一緒だ。自分たちの未来のために、今、効果的な温暖化対策を求めることの必要性を、ロシアの人々に訴えたい。

 

 マキシャンさんの「一人抗議行動」は40週以上を数える。彼はマドリードでの国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)に参加、ロシアに戻ってまた金曜日の抗議活動をしようとして、警察に尋問された。無許可の抗議行動との嫌疑だ。

 

 マキシャンさんは逮捕後、弁護士や支援者に向けて、「現在、判事の判断を待っている」とツィートし、その後、「6日間の拘束」との命令を受けたことを明かした。支援者たちは、「世界中で展開されている『スクールストライキ』キャンペーンの中でも、非常に厳しい罰則だ」と不満を示している。

 

これまでも警官に排除されたこともある
これまでも警官に排除されたこともある

 

 マキシャンさんの逮捕に対して、Friday4Future運動に参加する各国の若者たちは一斉に抗議の意思を発信している。マキシャンさんに対しても、「頑張れ!」「あなたは良いことをしているのだから」等、励ましのツィートが届けられている。

 

 マキシャンさんたちは、最近、「行列抗議」を展開していた。集団行動を禁じるロシアの規制をかいくぐるため、一人がプラカードを掲げて5分間保ち続け、行列の次の人にプラカードを渡す。「一人の抗議行動」の発展形だが、集団行動ではない、との認識だ。

 

Russia6キャプチャ

 

 その一方で、当局に対して、10回以上も、気候変動対策を求める抗議デモの許可を申請してきた。ロシアでの気候行動運動を根付かせようという考えからだった。そうした工夫や動きが、ロシア当局にとっては「目障り」だったようだ。

 

 だが、マキシャンさんとその支持者たち、そして彼らに連帯する世界中の若者たちは、へこたれないだろう。ロシアは温暖化の進展によって、北極圏での海氷減少で石油・ガス等の化石燃料開発の推進が容易になる一方で、シベリアの永久凍土等の融解で、CO2より温暖化効果が高いメタンの大量放出問題や、大規模な地盤沈下問題を抱えている。

 

 プーチン大統領以下の権力者たちは、温暖化のリスクを見ず、利益だけに目を輝かせているようだ。未来を見据えるマキシャンたちロシアの若者たちは、一人になっても、拘束されても、真のリスクを訴え続けるだろう。

https://www.theguardian.com/world/2019/dec/20/russian-climate-activist-inspired-by-thunberg-is-jailed