HOME8.温暖化・気候変動 |グレタさん17歳に。「今年も各国首脳等に、積極的な温暖化対策を求め続ける」と宣言。訪中、訪日の可能性にも言及。共同通信がインタビュー(RIEF) |

グレタさん17歳に。「今年も各国首脳等に、積極的な温暖化対策を求め続ける」と宣言。訪中、訪日の可能性にも言及。共同通信がインタビュー(RIEF)

2020-01-05 21:58:55

1Gretabirthdayキャプチャ

 

 各紙の報道によると、スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんは日本の共同通信の取材に応じた。3日で17歳になったグレタさんは、温暖化対策の強化に向け「今年も権力を持つ人たちに圧力をかけ、人々に意識を広め続ける」と語った。また、招待されれば初訪日するとの意欲も示したという。

 

写真は、3日で17歳になったグレタさん。彼女のツィッターから)

 

 共同通信の配信記事によると、首都ストックホルムで取材に応じた。グレタさんは誕生日の3日の金曜日も、同市のスウェーデン議会前で一昨年来続けている「温暖化対策を求める登校拒否(School Strike)」に仲間たちと参加、抗議活動を展開した。

 

 グレタさんは2019年後半、ヨットに乗って大西洋を渡り、米ニューヨークでの国連気候行動サミットに出席した。その後、全米、カナダをめぐって各地で若者たちと学校ストライキを展開した。再びヨットで大西洋を戻り、12月にはスペインで開いた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)に参加した。

 

gretabirthday2キャプチャ

 

 取材では、こうした自らの行動を振り返って「会議に招待されなかった人々も含め私たちの声を伝え、他で得られない経験ができた」と行動の手応えを語った。年が明けた今年の内外での活動については、今月下旬にスイス・ダボスで開く世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に、昨年に続き参加すると述べた。

 

 また、各国指導者に温暖化対策の実行を直接アピールするため「招かれれば、どの国の首脳にも会いに行く」と意欲を示した。実際に、中国など欧米以外の地域への訪問も計画していることを説明した。招待があれば「日本にも行く」とも話した。

 

 日本の若者に対しては、温暖化危機に向けた連帯を要請。「対策を避け、私たちの世代を裏切ってきたこれまでの世代や権力者に対し、未来を守る仕事をするよう圧力をかけなければならない」とメッセージを送った。

 

 グレタさんは昨年の日本での台風被害、現在、オーストラリアで燃えさかっている山火事被害等の温暖化の影響を受けた自然災害の多発について、「何も(対策を)とらなければ、時間とともに状況が悪化することは、科学的に予測されている」と改めて行動を促した。

 

 グレタさんは飛行機は乗らない。訪米でもヨットを使った。したがって、仮に訪中、さらには訪日するとなると、陸路を中心に移動することになる。

 

 アジアと欧州の間にはアジアハイウェーのルートが幾本か設定されている。日本に直結するAH1ルートは、東京、福岡、プサン、ソウル、北京等を通って、東南アジアの各都市を結び、インドのニューデリー、イランのテヘラン、トルコのアンカラ、イスタンブール等を経て、トルコとブルガリアの国境のカプクレまでつながっている。

 

 ただ、途中に北朝鮮のピョンヤンや、不穏な情勢になってきたイランのテヘラン等を通るため、グレタさんが安全に通過できるか不明。中東を避ける場合は、ロシアからシベリア鉄道を利用して東進し、途中からシルクロードに入って中国に向かうか、あるいはトルコからシルクロード経由という手もある。中国まで来て、日本には船で渡るという選択肢も想定される。

 

 ただ、グレタさんの目的は、効果的な気候温暖化対策の実施を各国首脳に語りかける点にある。訪米でもトランプ大統領とは「会っても時間のムダ」として、会談をパスした。

 

 そう考えると、温暖化対策に消極的なロシアのプーチン大統領や、日本の安倍首相等との会談は、同様に「時間のムダ」と思うかもしれない。それよりも、CO2高排出国だが再エネ対策にも力を入れている中国の習近平国家主席や、インドのモディ首相等と会うほうが意味があるということになるのではないか。

 

 日本でも、グレタさん人気は高い。だが、訪日が実現しても、マスコミがお祭り騒ぎをする一過性の対応に終わる可能性も色濃い。小泉進次郎環境相は、「日本の若者は、(グレタさんのように)大人を糾弾するのではなくて、全世代を巻き込むようなアプローチを取るべきだ」と発言している。

 

 温暖化対策を担う環境省の責任者が、自らの役所の不十分な対策を棚に上げて、若者に「全世代アプローチをとれ」と課題を突き付けて平然としている姿だ。こうした政治家が「次世代の象徴」のようにはやし立てられる国に、グレタさんが「期待」を見出すとは思いにくい。

 

 

 グレタさんは中国まで来て、そこから踵を返して欧州に戻っていく。日本には「無言のメッセージ」だけが送られてくるーー。そんな光景が浮かぶ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202001/CK2020010502000109.html