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農林水産省、環境配慮の国産資源活用の鶏卵・鶏肉にJASマーク(日本農林規格)付与へ。消費者の環境配慮選好を促す。国産材使用のバイオマス発電にもJASをお願いします(各紙)

2020-01-14 17:48:45

chikin1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、農林水産省は環境に配慮して国産資源を活用した鶏卵や鶏肉について、新しい日本農林規格(JAS)をつくる。国内品種の親鶏で生まれた鶏を育て、養鶏場での悪臭防止やリサイクルなどの環境配慮をする生産者に認証を付与する。消費者の環境選好を促すことを目指す。バイオマス発電でも、国内材活用の発電にJASを付与して、海外のパーム油等の燃料使用と差別化してもらいたい。

 

 日本経済新聞が報じた。それによると、新規格は「持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉」のJAS規格として、今年度内にも正式に制定する。環境配慮を明確に示す食品規格の制定については、民間事業者から要望が寄せられていた。

 

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 現在、我が国の国内で販売される鶏肉・鶏卵の9割以上は海外の育種会社による鶏から生産されている。国産品種を活用したものは一部にとどまる。海外産の品種はすぐに育つためコスト面で優位にあるが、その一方で特定の供給源に依存しているため、親鶏の急激な価格上昇などのリスクもある。

 

 農水省では、環境配慮型鶏肉・鶏卵の国内生産者に対しては、飼育に際して国産の飼料用米を一定以上与えることも求め、飼料面でも海外依存の低減を進める。一連の取り組みを通じ、国内産の鶏卵・鶏肉生産を奨励していく考えだ。

 

 また単に国内産を奨励するだけではなく、飼育する動物の「工場化」の進展で、動物に高まるストレスを軽減する「アニマルウェルフェア」の要請にも応えるものとする。その意味で、飼育中の鶏の管理状況のチェックや、発生する鶏ふんの肥料化、バイオエネルギーへの転用なども規格基準に盛り込むとしている。

 

 鶏肉・鶏卵と同じ問題が、バイオマス発電でも生じている。「バイオマス」といいながら、燃料は東南アジアからのパーム油やパーム椰子殻などに依存、現地での生態系破壊や、輸送中のCO2排出等を引き起こす大規模バイオマス発電が増えている。これらの発電所の実質的なCO2削減量に疑問が出ているほか、事業としての持続可能性にも課題が寄せられている。

 

 林野庁を抱える農水省には、国内森林の保全と最適利用の観点から、間伐材等を活用した地域立脚型のバイオマス発電にも、JAS認証を付与して推奨してもらいたい。JASの対象には林産品も入っている。エネルギー・環境の「利権」を握る経済産業省や環境省による従来型政策を打ち破ってもらいたい。

 

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200114&ng=DGKKZO54338840T10C20A1NN1000