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環境に優しいIoT(モノのインターネット)へ。阪大の研究チームが、植物由来のナノペーパー製の計測機器を開発。廃プラ対策に効果(各紙)

2020-02-03 08:00:18

IoT1キャプチャ

 

  IoT(モノのインターネット)で広範囲に利用される計測機器を、従来のプラスチック製から、植物由来のナノペーパー製とする技術が開発された。大阪大学産業科学研究所の研究チームが取り組んだ。計測機器の基板や部品などをナノペーパーで作ることで、計測が終わったら、水を撒いて湿り気を与えると、自然に土に返るという。

 

 (写真は、畑にナノペーパー製の計測機器を配置した様子)

 

 朝日新聞が米科学誌ACS Publicationのオンライン版に掲載されていることを報じた。開発したのは、同研究所の春日貴章氏らのチーム。計測機器は通常、基板や部品等がプラスチック製であるため、機器使用後に廃プラの源泉の一つになることが指摘されている。そこで研究チームは、プラスチックの代わりにナノペーパーを基板にして、コイルやトランジスタ等の電子部品を並べた湿度計を作成した。

 

 湿度計は無線でデータを送ることができる。機器から土中の湿り具合を計ってデータを離れた場所に無線で送り、水をまくタイミングを検知できる。本来の計測活動が完了したら、水をまくことでナノペーパーを土中で分解させる。

 

土中で180日たつと、機器自体が土に返ってしまう㊧
土中で180日たつと、機器自体が土に返ってしまう㊧

 

 今回開発したナノペーパー製の基板の厚さは約1mm。使用した繊維は一般的なパルプの1千分の1の細さで、表面はつるつるの形状でプラスチックのように柔軟に使える。ペーパーのため微生物によっても分解されやすい。ペーパーに組み合わせた金属性の部品の部分も土中に置くと、次第に錆びる。実験によると、約40日で機器全体の95%が土に戻ったという。

 

 これらの機器をガス感知機能のある部品として開発できれば、火山の噴火口や人が近づけないような場所での有毒ガス等の検知手段としてすることもできる。回収しなくても、水をかけることで分解するため、回収も不要なため、多用な利用が想定されそうだ。春日氏は「分解されるまでの期間を調整することが課題」としている。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b13886