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福島県内の東京オリンピック・聖火リレーコースの7割近くから高濃度放射線線量検出。民間の測定グループらが公表。「被曝続く中で、『復興五輪』はあり得ない」(RIEF)

2020-03-07 21:22:58

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   原発事故後の福島県内で放射能測定を続けている市民グループらは、東京オリンピックの聖火リレーコース及び周辺地域を対象にした放射線量の測定結果で、高濃度の放射線を検出したことを明らかにした。聖火リレーコースの土壌汚染密度は7割近くが「チェルノブイリ法」での避難基準を上回り、飯舘村では214万Bq/㎡に達した、としている。市民らは3日に、日本外国特派員協会で会見し、内外に訴えた。

 

 (写真は、日本外国特派員協会で会見する市民たち)

 

 「民の声新聞」が伝えた。会見したのは、青木一政さん(市民放射能監視センター・ちくりん舎副理事長)、中村順さん(ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト)、飯舘村民の伊藤延由さんの3人。調査は、2019年12月16日~18日、2020年1月13、14日の合計5日間、原発事故による放射線影響が特に懸念される浜通り地域を中心に汚染状況を調査した。調査地点は69カ所で、地上1mの高さでの空間線量と土壌汚染密度を測った。

 

 空間線量については日本政府が定めた除染特措法の基準(0・23μSv/h)で、土壌汚染のレベルは、チェルノブイリ法での指定基準に従って分類した。その結果、土壌汚染密度は全69カ所のうち4%が『強制移住ゾーン』(148万Bq/㎡以上)のレベルに相当、15%が『義務的移住ゾーン』(55万5000Bq/㎡以上)、36%が『移住の権利ゾーン』(18万5000Bq/㎡以上)、26%は『放射能管理強化ゾーン』(3万7000Bq/㎡以上)に相当した。指定に該当しなかったのは、わずか19%。

 

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 聖火リレーコース上の土壌(21カ所)に限定しても、指定基準以下の土壌は33%。空間線量は、全ての地点で除染が完了したとされているが、調査では62%が0・23μSv/hを上回った。聖火リレーコース上でも、52%で0・23μSv/hを超えた。また飯舘村の聖火リレーコース上では、空間線量は0・85μSv/h、土壌汚染密度214万Bq/㎡と、年間被曝線量は、7・5mSvに相当する極めて高線量のホットスポットを発見した、と指摘している。

 

全調査地点の汚染状況の分類
全調査地点の汚染状況の分類

 

 実際に測定した中村さんは、「〝復興五輪〟と名付けて、聖火リレーを福島県からスタートさせるのだから、きっと聖火リレーのコースは徹底的に除染されていて、その上で『安全』、『安心』、『復興』をアピールするのだろうと思っていた。しかし測定してみると私たちの予想は大きく外れた」と語った。「原発事故はまだ終わっていない。せめて吸い込まないよう注意喚起を」と訴えている。

 


 また高濃度の汚染が見つかった飯舘村については、福島県も同じ地点を測定して、空間線量を0・77μSv/hと発表したうえで、聖火リレーを「応援する方が、今回測定した空間線量率の最大値0・77μSv/hの地点に4時間留まったとすると、追加被ばく線量は0・003mSvになる」と公表していることを強調。「福島県の調査は、なぜその場所の空間線量が高いのか疑問を抱いていないし、その場所は既に避難指示が解除され住民の方々が生活している場所であるという認識が欠落している」として、行政の問題意識の無さを批判している。

 

 

聖火リレーコースでの汚染状況
聖火リレーコースでの汚染状況

 


 伊藤さんは飯舘村の現状について、「国は村面積の約15%に対して3000~4000億円の巨費を投じて〝除染〟を行った。しかし、現在でも1μSv/h(地上1m)を超える箇所が点在している。国はこういう環境の村に戻りなさいといろいろな〝手当〟をつけているが、1200人くらいしか戻っていない。それも73%が60歳以上の高齢者。村内の放射線環境は劣悪。原発事故前は0・04~0・05μSv/hだったとされるが、現在でも村内は数倍から20倍以上高い」と指摘。

 

 さらに「これら村に帰った村民は24時間365日、被曝し続ける。聖火ランナーは一瞬かもしれないが、こういう場所に住んでいる人がいるという事は許し難い」と指摘した。



 青木さんは「安倍首相は〝復興五輪〟と称して進めているが、『クリーンで安全な福島』が実現しているとは言えないと思う。原発事故被害がほとんど解決されていないという実態を隠蔽して〝復興キャンペーン〟を行っているという事に、私たちは強い憤りを感じている。3月下旬は乾燥する時期で、舞い上がった汚染土壌を吸い込む危険がある。ランナーや沿道の子どもたちに注意喚起があって然るべきだ」

 


 放射線モニタリングプロジェクトは、主に福島県の浜通り地域で放射線測定を2012年10月から行っている60歳以上の市民グループ。原発事故後の浜通りを「測定」という形で見続けている。

 

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