HOME13 原発 |旧ソ連のチェルノブイリ原発、事故原発を覆う鋼鉄製シェルターの運営管理免許を、事業主体(ChNPP)に付与。ようやく放射性物資の除去と原子炉解体の「長い作業」が始まる(RIEF) |

旧ソ連のチェルノブイリ原発、事故原発を覆う鋼鉄製シェルターの運営管理免許を、事業主体(ChNPP)に付与。ようやく放射性物資の除去と原子炉解体の「長い作業」が始まる(RIEF)

2021-08-24 17:22:03

Chernobylキャプチャ

 旧ソ連のチェルノブイリ原発4号機の解体事業がようやく始まった。35年前に爆発事故を起こした同原発をすっぽり覆う鋼鉄製シェルター(NSC)の管理免許が20日、ウクライナの原子力当局から、事業主体のチェルノブイリ原発機関(ChNPP)に付与された。これを受けて同機関は、同原発内に残っている放射性廃棄物の処理や、原子炉の解体に向けた作業に着手する。

 

 シェルターはそれまでの「石棺」から「新安全封じ込め庫(New Safe Confinement : NSC)」と呼ばれている。幅250m、長さ162m、高さ108mで全重量3万6000㌧の巨大な器だ。欧州復興開発銀行(EBRD)が主導し、日本を含む世界45カ国の国際支援で総額21億ユーロ(約2625億円)で2016年に完成していた。http://rief-jp.org/ct4/66065

 

 その後、シェルター内部の石棺の崩壊リスクや高濃度放射線遮断の対策等で、2019年7月にようやくウクライナ側へ移管された。2020年から1年間はNSC操業のパイロット期間として、シェルターの運転管理や構造や部材の掌握、人材の訓練養成等を実施してきた。https://rief-jp.org/ct5/91735

 

 今回、それらの準備作業をすべて終え、ウクライナの国家原子力規制検査機関(SNRI)が事業主体のChNPPにNSC運営管理の免許を付与した。各段階で時間がかかるのは、事故原発内部の原子炉では核燃料が溶融し、高放射能に汚染された200㌧を上回る残骸がそのまま残っているためとされる。

 

 ChNPP事務局長代理の Valeriy Seyda氏は「今日から『安全性』が、われわれのすべての活動の重点事項になる。次のステップは、シェルター内部を環境的に安全なシステムに転換するための、より責任重大な仕事となる。初期の解体作業の一部では、不安定な状況のままの汚染物質等を物理的に解体・除去する作業がある。これまで誰もこれまでやったことの作業に取り組むことになる」と決意を示している。

 

 1986年の爆発事故から35年。シェルターが完成してから5年。ようやく事故処理に着手するという段階だ。鋼鉄製のシェルターの寿命は100年とされる。その間に、汚染物質の処理や原子炉の解体作業が完了するかどうかは、誰もわからない。

 

https://snriu.gov.ua/en/news/iaea-inspection-being-carried-out-isf-1-and-isf-2-chornobyl-npp-20-08

https://world-nuclear-news.org/Articles/Licence-issued-for-Chernobyl-decommissioning