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ロシア軍が占拠しているチェルノブイリ原発周辺で、東京ドーム2200個分に相当する1万ha以上の森林火災。大気中に放射性物質拡散。欧州諸国等への飛散の可能性も(RIEF)

2022-03-28 12:47:08

Chernobyl001キャプチャ

 

  各紙の報道によると、ロシアが侵攻しているウクライナのチェルノブイリ原発周辺の立ち入り禁止区域で、戦闘による森林火災が生じ、ウクライナ1万ha以上が焼失した。森林の消失により、周辺地域の土壌中に残留していた放射性物質が大気中に拡散、濃度が上昇している。放射線物質は周辺のベラルーシや欧州諸国にも広がる恐れが出ている。

 朝日新聞等が報道した。同国の人権オンブズマンのリュドミラ・デニソワ氏が27日、ロシア側の敵対行為により、原発周辺の立ち入り禁止区域で31件の森林火災が発生したと発表した。総焼失面積は1万haにも達する。これは日本の東京ドームに換算すると約2200個分に相当する。
 これより前、ウクライナ議会も21日の時点で、「おそらくロシアの砲撃か放火」により、チェルノブイリ原発の周辺7カ所で火災が起きている、と発表していた。デニソワ氏のSNSによると、火災は森林地域だけでなく、原発の周辺に設置している使用済み核燃料などの貯蔵施設にも達するリスクがあるとしている。

 

 発生した火災は強風と乾燥した空気により燃え広がっているが、ロシア軍が原発を含めて周辺地域を占拠していることから、現地の消防等が火災を鎮火する行動をとれなくなっているという。

 

 デニソワ氏は、森林火災の広がりによって、大気中に舞い上がった放射性物質が周辺の他国にも拡散する可能性を指摘している。1986年に発生した同原発の爆発事故は当初、当時のソ連がひた隠しにしていたが、原発から大気中に拡散した放射性物質が欧州諸国に飛散し、スウェーデンで確認されたことから発覚した経緯がある。

 

 ウクライナ側は国際原子力機関(IAEA)に対し、「全世界に取り返しのつかない結果となることを防ぐため、専門家の派遣と消火用装備の提供を求める」としている。また、国際人権団体にロシア軍に危険地域から撤退するよう圧力を強めるよう求めている。

 

 チェルノブイリ原発職員が住むスラブチチ市のフォミチェフ市長は26日、ロシア軍の攻撃で市民3人が死亡し「市は占領された」と述べた。市長はロシア軍に一時拘束されていた。