今月に入って、ロシアが侵攻するウクライナのザポリージャ原発で火災の発生やロケット弾の着弾等が起きた問題で、ウクライナとロシアがお互いを非難しているが、ロシア前大統領で現在、国家安全保障会議副議長を務めるディミトリ―・メドヴェージェフ(Dmitry Medvedev)氏は、「西側諸国は火災は偶然に起きたと指摘する。ならば、EUも原発を抱えており、そこでも(ウクライナと同様のことが)偶然に起きる可能性があるということだ」と述べた。EU側は同氏の発言を、原発サイトを狙った攻撃はEUでも起き得るとする「間接的な脅し」と受け止めている。日本の原発サイトもそのリスクがあるともいえる。
(写真は、メドヴェージェフ前ロシア大統領。プーチン大統領の忠実な腹心だ)
ザポリージャ原発は欧州最大の原発サイト。同原発は3月にロシア軍によって占拠されたが、原発の運転はウクライナ側の国営原子力企業「エネルゴアトム」が続けている。しかし同社によると、今月5日、原発敷地内が砲撃を受け火災が発生、送電網が損傷する事態が発生。6日にはロシア軍によってロケット弾が撃ち込まれたと発表した。11日には攻撃により原子炉一基が緊急停止したことが報告されている。
これに対して、ロシア側は「攻撃は、ウクライナ軍によるもの」と発表し、双方で非難の応酬が続いている。メドヴェージェフ氏は先週、自らTelegraphで「ウクライナ側とその同盟国はロシア軍が同地域を攻撃したと非難している。だが、そうした主張は明らかに100%ナンセンスだ。ロシア嫌いの人でもそんなバカげた主張はしない」とツィートした。
そのうえで、「キエフとその同盟者たちは、『ロシアがやった』と言っているが、(仮にウクライナがやった場合でも)偶然そうしたことが起きたとしている。どうしてこんなことが言えるのか。EUも原発を抱えていることを忘れるな。偶然の事故だというなら、EUでも同様のことが、今後、偶然に起きるということだ」と指摘した。