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プーチン露大統領、ザポリージャ原発のロシア資産への算入法令に署名。現在、操業・管理をしているウクライナ側は反発。原発奪還をめぐる軍事衝突のリスク、再び高まる(各紙)

2022-10-06 15:48:39

Russia001キャプチャ

 

  各紙の報道によると、ロシアのプーチン大統領は5日、ウクライナのザポリージャ原発(ZNPP)をロシアの監督下に置き、「連邦財産」にすることをロシア政府に命じる法令に署名した。同原発は現在、ウクライナ人職員が管理しているが、法令では新たにロシア国営機関が管理するとしている。これに対してウクライナ側は、同原発は引き続き同国が管理・維持するとしており、ウクライナ軍の東部地域奪還のように、同原発をめぐる軍事衝突のリスクが再び高まっている。

 

 (写真は、ザポリージャ原発に配置されているロシア軍兵士)

 

 ロシア国営のRIA通信等が伝えるところでは、 ロシア外務省は5日、ウクライナのザポリージャ州のロシアへの併合の国内手続きを完了したことに伴い、同原発もロシア当局の監督下で運営されると表明した。ロシア核関連企業ロスエネルゴアトムは、ZNPPインフラの損傷を修復する方法に関する検証を実施し、原発の運営主体を現在のウクライナ人職員からロシア国営機関に移管すると発表した。

 

 ロスエネルゴアトムは「新たな運営組織は原発の安全な運用と既存の原発職員の専門的な活動を確保するよう設計されている」とした。

 

 これに対して、ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムのペトロ・コーチン社長はビデオメッセージで、自身がZNPPの管理を行うとし、職員に対しロシア占領軍とのいかなる文書にも署名しないよう要請した。同氏はSNSで「同原発に関する今後のあらゆる決定はエネルゴアトム本社で直接、行われる。われわれはウクライナの法律により、ウクライナのエネルギーシステムにより、エネルゴアトムの下で引き続き業務に当たる」と強調した。

 

 ウクライナ大統領府のポドリャク顧問もツイッターで、プーチン大統領の「法的襲撃(legal raid)」」に即時対応すべきと強調。ロシア国営原子力企業ロスアトムに対する制裁を西側諸国に呼び掛けたほか、ロスアトムとの原発建設を全て中止し、ロシアとの原子力に関するパートナーシップを拒否するよう求めた。

 

 国際原子力機関(IAEA)によると、グロッシ事務局長は5日に再びウクライナ入りしている。同氏はツィッターで「原子力安全性およびザポロジエ原発周辺の安全保護区域に関する可能な限り早期の合意と実施」について協議していると述べた。また「ZNPP周辺に非戦闘ゾーンの安全保護地帯を設ける緊急の必要性が高まっている」と強調した。

 

 同原発は現在、外部からの電源は1回線のみとなっており、非常に脆弱な状態に置かれている。軍事衝突によって、同回線が使えなくなると、限定的な緊急回線しか使えなくなる。グロッシ事務局長はZNPPの現状を把握するため、同原発にも再訪問するとみられている。IAEAは声明で「ウクライナの職員幹部がZNPPにいるIAEAの専門家に対し、出力を下げて5号機を起動する準備が進められていると伝えた」と発表したが、準備には時間が「しばらく」かかるとした。

https://www.reuters.com/world/europe/zaporizhzhia-plant-operate-under-russian-supervision-after-annexation-ria-2022-10-05/

https://www.dw.com/en/ukraines-zaporizhzhia-plant-situation-unstable-iaea-warns/a-63074003