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東レが除染作業用粉塵防護服を開発、通気性と廃棄性向上 (Reuters)除染の長期化、汚染水問題の混迷は“ビジネスチャンス”でもある

2013-09-19 20:59:18

9月19日、東レは、除染作業時に着用する高機能な粉塵防護服2種類と放射性廃棄物処理容器向け遮へい材を開発したと発表した。都内で撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
 

9月19日、東レは、除染作業時に着用する高機能な粉塵防護服2種類と放射性廃棄物処理容器向け遮へい材を開発したと発表した。都内で撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
9月19日、東レは、除染作業時に着用する高機能な粉塵防護服2種類と放射性廃棄物処理容器向け遮へい材を開発したと発表した。都内で撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)


[東京 19日 ロイター] – 東レ(3402.T: 株価, ニュース, レポート) は19日、除染作業時に着用する高機能な粉塵防護服2種類と放射性廃棄物処理容器向け遮へい材を開発したと発表した。

粉塵防護服は既存品に比べて通気性や廃棄性を向上させ、遮へい材は水を使うことで軽量化を実現、運搬性を高めた。福島第1原子力発電所や周辺地域で除染活動を急ぐ東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)やゼネコン各社などに提案し、いずれも2013年度中の販売を目指す。

開発した防護服の1つは、各種フィルターや医療用マスクなどに使われているポリプロピレン製の帯電不織布「トレミクロン」を用い、高い防塵性と通気性を両立。既存品に比べて防塵性は約25%、通気性は約20倍以上高く、平均温度で約2度、平均湿度で約7%低減できるという。

もう1つの防護服は、台所の水切りネットなどに使われるポリ乳酸不織布と生分解性柔軟フィルムという分解しやすい素材を使用。既存品ではできない、微生物の働きで発酵分解させる生分解処理を可能にした。不織布とフィルムの2層構造にすることで粉塵性や強度を維持。既存品に比べ、焼却時は少ない熱量で済み、埋没や溶解などの処理方法でも分解が早いのが特徴だ。

除染作業員は猛暑などで高温が続くと防護服の着用で熱中症にかかる恐れがある。機能製品事業部の梅田輝紀・特需課長は「防護服はとにかく暑くて着ていられないという現場の声もあり、少しでも通気性の高いものを開発した」と説明。また、「1日1人が防護服を2、3枚捨てている状態で、大変な量が使われている」と話し、現場の要望に応えたと語った。

1着当たりの価格は、通気性を高めた防護服が約1000円で、14年度に10万着の販売を見込む。廃棄性を高めた製品は約1500円で、同年度に5万着の販売を計画。価格は2種類とも米化学大手デュポン(DD.N: 株価, 企業情報, レポート)製の既存品と同等レベルに設定した。将来的には除染作業用だけでなく、鳥インフルエンザ発生時などでの使用も想定している。

<放射線を水で遮へい、運搬性を向上>

除染で発生する放射性廃棄物については現在、安全な仮置き方法の1つとして、プラスチック製のドラム缶などに収容した後、周囲に放出される放射線を遮へいするためにコンクリート製のリング(浮き輪)を複数個被せている。だが、コンクリートは重く、使用後の処分も容易でないため、作業性の高い遮へい材の開発が求められていた。

東レはこのほど高強力ポリエステル繊維を使用した基布に特殊なコーティングを施した新素材を開発。リング状の袋の内部に水を充てんしてドラム缶の周囲に被せることで現行と同等のガンマ線遮へい率を実現したという。

水を充てんする前は折りたためて持ち運びが簡単で、使用後は水を抜いて焼却できる。コンクリート製の重量は土のうによるふたも合わせて約560キログラム。これに対し、開発品は水充てん時は約900キログラムだが、水を入れる前は約17キログラムと大幅に軽い。価格は1セット5万5000円で、14年度に5000セットの販売を目標とする。

 

 

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPTYE98I08F20130919