HOME |英セラフィールド原発の核燃料廃棄物処理費急増 11兆円にも 英議会で問題化(FGW)原発の経済合理性に疑問高まる |

英セラフィールド原発の核燃料廃棄物処理費急増 11兆円にも 英議会で問題化(FGW)原発の経済合理性に疑問高まる

2014-02-11 13:31:02

原発廃棄物処理の急増を警告する英国会委員会のHodge座長
原発廃棄物処理の急増を警告する英国会委員会のHodge座長
原発廃棄物処理の急増を警告する英国会委員会のHodge座長


英国原発セラフィールドの使用済核燃料等処理がコストアップで行き詰まり状況にあるという。英紙ガーディアンによると、同原発の処理費用は当初見通しを大きく上回る700億ポンド(11兆7000億円)以上に跳ね上がるという。英国も安倍政権と同様に原発推進だが、原発が経済的に非合理的であることが英国でも明らかとなり、政治問題化している。

英国会の財政委員会の報告によると、英セラフィールドの廃棄物処理は米国企業が主導するコンソーシアムが担当して事業を実施している。しか処理自体の遅れと費用のコスト増で、当初の英国政府との契約を大きく逸脱した状況になっており、処理コストは700億ポンドを超えそうという。

A「目標の達成遅れ、コストの急増、弱いリーダーシップが原因」と国会報告書は厳しく指摘している。事業を担当しているコンソーシアムはNuclear Management Partners (NMP)で、6年前に英政府の廃炉担当庁の Nuclear Decommissioning Authority (NDA)から、改善を指摘されていた。 NDAは昨年10月にNMPとの契約を延長しており、報告書は事態の改善がなされていないのに延長したのは不適切と指摘している。

委員会の座長であるMargaret Hodge議員は,「廃棄物を貯蔵するサイロだけで当初計画の倍の7億2900万ポンド(1217億円)に跳ね上がっており、それ以外の処理作業は6年遅れて2023年に延長された」と指摘。「事業者の活動をしっかり監視し、改善が見られない場合は契約を解除すべきだ」としている。

NDAは、NMPが契約最初の5年間で遅れが出るとは予想できなかった、と言い訳しているが、NMPのマネジメントに問題があったことは認めている。単に事業が遅れただけでなく、コンソーシアムは廃棄物処理専門家に多額の費用を支払っているなどの問題も浮上している。つまり放射性廃棄物処理が専門企業に「食い物」にされている懸念があるという。

NMPは米企業のURSのほか、フランスのアレバ、英国のAmecなどで構成する。NDAにとって厳しいのは現在のNMPと契約解除しても、議会が要求するような適正コストの処理を引き受ける他の企業連合が現れるかどうかが不明な点だ。.原発処理コストは日本の福島原発事故後に世界的に急増しているが、そうした事故防止コスト増だけではなく、廃棄物処理を安全かつ長期にわたって実施する技術が不在なことが高コストにつながっているとみられる。

 

ガーディアンの記事:http://www.theguardian.com/environment/2014/feb/11/sellafield-consortium-cost-clean-up