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東電福島第一原発 ALPSのトラブル検証で試験検証装置導入へ 放射線への耐性に疑問の声(FGW)

2014-05-26 00:55:00

トラブル続きのALPS
トラブル続きのALPS
トラブル続きのALPS


東京電力福島第一原発の放射線汚染水処理のために導入された多核種除去施設(ALPS)のトラブルが続く中で、東電はALPSの放射線漏れを検証する試験設備を導入すると公表した。新設備で放射線の漏洩対策を検討するとしているが、新設備の配管や容器等には、ALPSと同様に放射線に劣化しやすい機器を活用している。専門家からは放射線対応に取り組む東電の基本姿勢への疑問の声も出ている。

 

東電の公表によると、導入されるのはALPSの放射性物質の濃度を低減する能力等を検証する設備。ALPSはこれまでのトラブルで、使用していたパッキン部分が劣化して放射線を含む汚染水が漏洩する問題を引き起こしている。新設備はそうした漏えいを防ぐための対策を検証することなどが目的という。

 

ところが、公表された仕様書によると、放射性液体廃棄物の漏えい防止についてはパッキンに有機物(合成樹脂)であるエチレン・プロピレンゴムEPDMを使用するとしている。また主要配管にも、ポリエチレン管、ポリ塩化ビニル管、合成ゴムなどの有機物(合成樹脂)の材料が使用する予定という。

放射線で周辺部分が劣化、漏洩につながったガスケット
放射線で周辺部分が劣化、漏洩につながったガスケット


 

 

この点について技術者の樗木博一氏は「放射性物質が放出する放射線は有機物の基本構造である炭素炭素の結合を切断するエネルギーを持っている。このことが、放射線が人間のみならず、すべての生物にとって有害である理由。したがって、高濃度の放射性物質を通す配管や容器のパッキンにテフロン、ゴムなどの有機物を使用すれば劣化する」と指摘している。

 

さらに「放射線の強い環境で有機物を使用すれば、早期に劣化が進むのは物理や化学の基礎的知識のある方であれば、誰にでも簡単にわかること。しかし、このトラブルから、この設備を製造された方達は、そういった知識をもっていないことがわかる」としている。

 

これに対して東電は、ポリエチレンなどの「耐放射線性」について、ポリエチレン管は数年程度の使用では放射線照射の影響を受けることはないとし、また系統バウンダリを構成するガスケットやパッキンなどのその他の部品についても、他の汚染水処理設備等で使用実績のある材料(EPDM,黒鉛)を使用しているため,運転実績により,数年程度の使用は問題ないと、発表の中で説明している。

 

問題は、使用期間と放射線の照射強度にあるようだ。ALPSの部品欠損などのトラブルも放射線の照射強度が予想よりも高かったことが原因とみられる。今回導入される試験検証装置の供用期間は1年未満とされているため、1年ほどならば使用に耐えられる可能性もあるという。しかし、放射線強度がどれだけのものになるかは東電も把握できていない。事故を起こした原子炉の中がどうなっているかも不明なまま。さらに、汚染水の原子炉からの汚染水の流出を止める手立てもない未曽有の状況が続く中で、従来の設計や技術力で対応するのは容易ではないということである。

 


http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu14_j/images/140523j0201.pdf