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「福島切り」への住民の反発高まる 原発賠償でのADR申し立て増加。11月末現在4825件、最高件数に。和解は6割強へ低下(福島民報)

2014-12-27 13:16:56

ADRが不調に終わるケースも増加。訴訟への圧力高まる
ADRが不調に終わるケースも増加。訴訟への圧力高まる
ADRが不調に終わるケースも増加。訴訟への圧力高まる


東京電力福島第一原発事故の損害賠償をめぐり、被災者と東電の和解を仲介する原子力損害賠償紛争解決センターへの裁判外紛争解決手続き(ADR)申立件数が増加している。

平成24年から毎年4千件を超え、今年は5千件に迫る。避難区域の住民らによる集団申し立てが相次いでいるためだ。一方、和解に至ったのは申立総件数の66%にとどまり、迅速な被災者救済につながらないケースも目立つ。

受け付けを開始した平成23年は9月からの4カ月間で521件だったが、福島、会津若松、いわき、南相馬の4市に支所が開設された24年は4542件と一気に増えた。25年は4091件にとどまったが、今年は11月末までに、昨年1年間を734件上回った。

 

従来は個人が除染費用や自主避難に要した経費などを求める案件が目立った。最近では避難区域をはじめ比較的放射線量の高い自治体、行政区が精神的賠償の増額などを求める集団申し立てが増えている。

 

居住制限区域となった飯舘村蕨平地区の住民による申し立てでは、センターが住民側の主張を全面的に受け入れ、「帰還困難区域と同等に財物賠償すべき」などとする和解案を提示した。こうした事例を受け、他の地域の住民に、被災者側に寄り添った判断が示される-という期待感が広がっているとみられる。

 

福島大の教員でつくる「原発賠償ADR研究会」共同代表の高瀬雅男名誉教授(69)は「住民に有利な和解案が提示されていることが、申し立て増加の要因」と分析。原発事故による避難生活は長期化しており、今後も申し立ては増えるとみている。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2014122720075