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米原発 過去2年で5件目の廃炉決定 昨年末に。費用増加で経済合理性を喪失。かつて1000基稼働の米原発は100基を切る(FGW)

2015-01-02 23:59:49

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米電力会社のEntergyは、米国東部にある原発バーモント・ヤンキーを昨年末の29日に稼働停止した。日本の東電福島第一原発事故に伴う安全対策の強化コストを踏まえると、発電採算が合わなくなったというのが理由。経済合理性に基づく判断の結果だ。

バーモント・ヤンキー原発の稼働停止によって、過去2年間で廃炉に踏み切った米原発は5基目となる。この結果、米国で稼働中の原発は100基を下回る99基となった。米原発は一時は1000基が稼働していたが、コストアップにより、10分の1に縮小されたことになる。シェールガス発電などが増える米国では、すでに原発は「時代遅れ」の発電設備に位置付けられている。

 

稼働を終えたバーモント・ヤンキーの原発は、東電福島原発ど同様の沸騰水式タイプ。40年以上操業したが、12月29日に原子炉に制御棒が入れられ、運転を停止した。日本では経済産業省が、40年操業の限度を超えた原発についても再稼働を目指しているが、米国基準に照らすと、日本の再稼働路線は安全性と経済合理性を無視した異例な行為ということになる。

Entergy 社は、原発設備をすべて減価償却して発電しても、シェールガスや再生可能エネ発電に対抗できない。原発を稼働させることはお金を失うことにつながる、と説明した。バーモント原発の廃炉化は、経済的合理性の喪失という点が決定的だが、同時に長年にわたって市民団体が原発撤去の市民活動を展開してきたことも影響している。「 Citizen Awareness Network」などが粘り強い反原発運動を展開してきた。

Protestors hold signs during a vigil to support the closing of the Vermont Yankee nuclear power plant at the Statehouse Monday, Jan. 23, 2012 in Montpelier, Vt. (AP Photo/Toby Talbot)
Protestors support the closing of the Vermont Yankee nuclear power plant at the Statehouse in January 2012 in Montpelier, Vermont.
 

この2年間でバーモント・ヤンキー以外にで廃炉になった原発は、カリフォルニア州のサン・イノフレ原発(2基)、ウィスコンシン州のキューワウニー原発、フロリダ州のクリスタルリバー原発が数えられる。いずれも市民団団体の反原発活動が影響している。さらにこのほかにも、フロリダ州で、納税者が原発稼働に対する州や自治体の支援に反対して操業停止になっている。

http://ecowatch.com/2014/12/29/vermont-yankee-shuts-down/#comments